音で差をつけるラグジュアリー戦略、ampが「The Sound of Luxury」を公開


2025年3月、世界的なソニックブランディング企業ampは専門誌amplify第9号にて、ラグジュアリーブランドにおける“音”の活用に焦点を当てたレポート「The Sound of Luxury」を公開しました。

音で差をつけるラグジュアリー戦略、ampが「The Sound of Luxury」を公開

引用元:ampsoundbranding.com

音で「距離感」を演出する、新しいラグジュアリーブランディング

ampが発表したレポート「The Sound of Luxury」では、ラグジュアリーブランドにおける“音”の新たな活用法が紹介されています。従来、高級ブランドの世界観は視覚で表現されることが主流でしたが、近年は音によって「特別な存在」としての距離感を演出するケースが増えています。

たとえばボッテガ・ヴェネタは、荒野の映像に不穏な音楽を重ねることで、見る人に「自分はこの世界の一部ではないが、そこに惹かれる」という感覚を与えることに成功しています。これは、視覚と聴覚のギャップによってブランドの排他性を際立たせる巧みな表現です。

一方、Miu MiuやLoeweのようにソーシャルメディアに強いブランドでは、ASMRや現代的なクラシックの再構成といった音使いで親しみやすさを演出し、若年層との接点を広げています。このように、ブランドのアイデンティティや狙う顧客層によって、音の“演出距離”が戦略的に使い分けられているのが特徴です。

空間体験を彩る「オーディオファースト」な設計

ampのレポートでは、音を中心に設計された“オーディオファースト”な空間づくりにも注目が集まっています。Gucciがロンドンに展開する「Listening Lounge」や、Wホテルのライブ企画「W Presents」はその代表例です。単なるBGMではなく、ブランドの価値や世界観を五感で体験させるツールとして音が活用されています。

特に印象的なのは、米テキサス州のHotel Magdalenaが設けた「The Equipment Room」というスペースです。ここでは、ヴィンテージのオーディオ機器とレコードコレクションを通じて、宿泊者が音に浸る時間を過ごすことができます。デジタル中心の現代において、こうした「音とともに記憶される体験」が新たなラグジュアリーの形として支持を集めています。

レポートによると、音響設計を重視した空間は訪問者の再来意欲を86%高めるという調査結果も出ており、今後さらに多くのブランドが音の設計に力を入れていくことが期待されます。

ASMRとは

ASMR(エーエスエムアール)とは、「自律感覚絶頂反応(Autonomous Sensory Meridian Response)」の略で、ささやき声や紙をめくる音など、特定の音や視覚刺激によって得られる心地よいゾワゾワとした感覚を指します。リラックス効果があるとされ、YouTubeなどでASMR動画が人気を集めています。

参照元:Download amplify 9


AMI(エイミー)

再来意欲86%って、もう音が接客してるレベルだよね。

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