2024年インターネット広告市場は2,586億ドルに。IAB・PwCレポート発表

インターネット広告の業界団体IABと、世界四大会計事務所のひとつであるPwCは、2024年のインターネット広告市場に関する最新レポートを発表しました。総広告収益は2,586億ドルに達し、前年比14.9％増と過去最高を記録するなど、デジタル広告市場の力強い成長が明らかになっています。

インターネット広告収益、前年比14.9％増の2,586億ドルで過去最高に

IABとPwCが発表した「Internet Advertising Revenue Report：Full-year 2024 results」によると、2024年の米国内インターネット広告収益は過去最高の2,586億ドルに達しました。前年（2023年）の2,250億ドルから14.9％の成長となり、パンデミック後に一時的に見られた市場の停滞を完全に脱し、再び成長軌道に乗った形です。

なかでも注目すべきはソーシャルメディア広告の成長で、前年から36.7％増となる888億ドルを記録。SNSを活用したパフォーマンス広告やショッピング連動型コンテンツの広がりが、市場を押し上げたと見られています。

リテールメディア、動画広告、ポッドキャスト広告も好調

データ活用に強みを持つリテールメディアネットワーク広告も、前年比23％増の537億ドルと大きく成長しました。これはAmazonをはじめとする小売プラットフォームが、自社データを活用した広告ソリューションを強化しているのが要因と考えられます。特にファーストパーティデータを活用したターゲティングや、クローズドループレポートの重要性が増しており、リテールメディアは今後のパフォーマンス広告を支える柱として注目されています。

また、デジタルビデオ広告は19.2％増の621億ドル、デジタル音声広告も18.9％増の69億ドルとなり、いずれも引き続き安定した拡大を見せています。特に動画領域では、コネクテッドTV（CTV）やストリーミング配信の普及が、広告主に新たな配信面を提供しています。オンラインTV広告も16.5％成長するなど、従来型のテレビ広告からデジタルシフトが加速しており、インパクト重視の動画体験がブランドエンゲージメントの鍵となっています。

音声広告に関しては、ポッドキャスト広告が前年から26.4％の成長を記録し、デジタルオーディオ市場のけん引役となりました。音楽配信系の成長はやや鈍化したものの、音声広告全体では8.5％の伸びを維持しており、消費時間の増加に支えられて今後も堅調な推移が見込まれています。

生成AIが広告運用を刷新、2025年の注目トピック

今後のトレンドとして、IABとPwCのレポートでは以下の4点が注目テーマとして挙げられています。

• 生成AIによる広告運用の自動化と効率化

• プライバシー規制対応を見据えたデータ戦略

• ストリーミングTV（CTV）広告の成長加速

• クリエイターエコノミーとの連携強化

とくにAI領域では、広告クリエイティブの生成やターゲティング精度の向上に加え、対話型の「広告エージェントAI」も登場し始めています。従来の配信最適化にとどまらず、ユーザー体験に寄り添いながら広告との接点そのものを変革する動きが加速しています。

Z世代を中心に拡大するクリエイターエコノミーも、ブランドとインフルエンサーとの中長期的パートナーシップを促進。ライブ配信やSNSのみならず、ポッドキャストや音声メディアを活用した新たな広告モデルへの展開も期待されています。これらの潮流は、単なるトレンドではなく、広告ビジネスの構造全体に大きな影響を与えていくと見られています。

参照元：Internet Advertising Revenue Report Full-year 2024 results April 2025

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