英国BBC、業界からの反発受けポッドキャスト広告導入を断念

英公共放送BBC(英国放送協会)は英国国内におけるポッドキャストへの広告導入計画を撤回の動きを見せています。英Financial Timesの3月27日付報道などで報じられており、業界団体などから公正性に対する懸念が寄せられたことが理由とされています。

英国BBC、業界からの反発受けポッドキャスト広告導入を断念

引用元:BBC drops podcast adverts plan after industry backlash

業界団体の強い反発、「公共放送の商業化」に懸念

BBCが広告導入を検討していたのは、SpotifyやApple Podcastsなどの商用プラットフォームで配信されている一部のポッドキャスト番組です。これらの番組は、BBCの商業部門であるBBC Studiosによる収益事業の一環として、英国以外の市場ではすでに広告が展開されています。

しかし今回、英国国内でも同様のモデルを導入しようとしたところ、業界団体であるRadiocentreやNews Media Association(NMA)などから強い反発が寄せられました。これらの団体は、「ライセンス料で支えられている公共放送が民間の広告市場に参入するのは不公平であり、業界全体の健全な競争を妨げる」として、政府に対して計画の見直しを求める書簡を提出していました。

BBCはこうした意見を受け、「リスナーおよび関係者からのフィードバックを慎重に検討した結果、英国でライセンス料によって提供されているコンテンツへの広告掲載は見送ることにした」と表明しています。

広告展開は海外市場重視へ

BBCは今回の撤回を発表しましたが、英国以外の市場における広告展開は引き続き行う方針です。実際、アメリカなどでは「BBC Podcasts Premium」といったサブスクリプションサービスを通じて、広告付き・広告なしのプランを展開しており、海外での収益機会の拡大を模索しています。

一方、英国国内においては、BBC Soundsで配信されるポッドキャストには今後も広告を掲載しない方針を明言しており、公共放送としての中立性を守る姿勢を改めて示しました。

今回の一件は、公共放送機関が収益の多様化を図る中で直面する難しさや、商業活動との線引きを改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。ライセンス制度や公共放送のあり方そのものが議論される中、BBCが今後どのような戦略を描いていくのかが注目されます。

BBCとは

BBC(British Broadcasting Corporation)は、英国の公共放送局で、1922年に設立されました。テレビ・ラジオ・オンラインを通じてニュース、ドキュメンタリー、エンターテインメントなど幅広い番組を提供しています。運営資金は主に英国民から徴収される受信料によって賄われており、「公共性」「中立性」「非営利性」を原則とする報道姿勢が特徴です。国内外に大きな影響力を持つメディア機関として知られています。

参照元:BBC drops podcast adverts plan after industry backlash

AMI(エイミー)

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