音声広告代理店オックスフォード・ロードと調査機関エジソンリサーチは、4月にポッドキャストの定義と今後の発展に関するレポート「What is a Podcast?: Preserving its Essence, Structuring for Expansion.」を共同発表しています。

引用元:https://oxfordroad.com/
ポッドキャストの定義をめぐる混乱とリスナーの認識ギャップ
今回のレポートでは、動画プラットフォームの台頭によって、ポッドキャストの定義が曖昧になっているとしています。特に注目すべきは、アメリカの12歳以上の72%が「YouTube上で対話する動画」をポッドキャストと認識しているという調査結果です。

引用元:https://oxfordroad.com/
かつてポッドキャストは、RSSを通じて配信される音声コンテンツを指すものでしたが、現在はSpotifyやYouTubeなどプラットフォームの多様化により、「動画付きのポッドキャスト」や「映像中心のトーク番組」などが混在する状態になっています。このギャップがリスナーと制作者、広告主の間で認識のずれを生んでいます。
成長の阻害要因は“定義のあいまいさ”と“測定の分断”
ポッドキャスト業界が成長を続ける中で、広告主にとっての障壁も浮き彫りになっています。レポートでは、投資判断に必要な指標が統一されていないことや、効果測定の透明性の欠如が、大きな課題として挙げられています。
例えば、再生数やリスナー数といった基本的な指標でさえ、「どのポッドキャストが効果的だったのか」を一元的に判断しづらい状況が続いています。プラットフォームごとに測定方法が異なっているなどの現状が、デジタル音声業界のスケールアップにブレーキをかけていると指摘されています。
レポートが示す新しい「定義」と「測定基準」
オックスフォード・ロードとエジソンリサーチは、こうした課題に対応するために、業界内で共通認識を持つための“暫定的な定義”を提示しています。
ポッドキャスト
オンデマンドで提供される音声主体の番組で、幅広いテーマや形式のエピソード型コンテンツで構成されます。従来はオープンなRSSを通じて配信され、会話形式が中心でしたが、近年ではプラットフォームベースの配信も含まれ、動画による補足も一般的になりつつあります。
ビデオポッドキャスト
会話コンテンツを中心としたエピソード型のオンデマンド番組であり、映像と音声が同期することで、体験の一部として視覚情報が重要な役割を果たします。
さらに、両社は業界全体で活用できる「オープン測定プロトコル」の策定を提案しています。これはプラットフォームを横断して使えるプライバシーに配慮した共通の測定基準であり、広告投資の透明性向上と業界全体の信頼性強化を目指すものです。
RSSとは
RSSは、「Really Simple Syndication」の略で、ウェブサイトの更新情報を自動的に配信するための仕組みです。ポッドキャストでは、音声ファイルの配信情報やエピソード情報をRSSフィードにまとめ、リスナーのアプリに自動で配信する役割を果たします。
参照元:Oxford Road and Edison Research Publish Landmark White Paper Defining Podcasting for the Future
定義が曖昧なのも、ポッドキャストらしくはある…?