弊社、京橋ファクトリーは2016年4月に無事黒字にて3期を終え、4月には新卒の新たなメンバーを迎えるなど、 少しずつではありますが成長の日々を過ごしています。
新しい風を取り入れ自社事業を育てつつも新しいものづくりの種もまきつつ..というところで、「ファクトリー」の名に恥じないよう日々、価値創造を目指して進めております。
新しい期を迎え、自社の事業内容と一体我々は何の会社なのか?ということについてここしばらく考えていました。 われわれは一体何をしているのか、何者なのか、ということへの答えとしてひとつ、『編集的創造』という言葉に行き当たりました。
"編集的創造"とは何か
我々が定義している「編集的創造」とは、以下のようなことです。
“編集的創造” = -世の中に散らばる潜在ニーズを編集することであらたな価値生み出すこと-
一見すると、それっていわゆる「キュレーション」では、と思うかたがいるかもしれません。
「キュレーション」とは情報と情報をつなぎ合わせて、まとめ、新しい価値を持たせて共有する(情報発信する)といった意味の言葉です。
もともとは博物館、図書館、公文書館などで、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門職のキュレーター(curator)が起源です。 最近のgunosyやスマートニュースなどのキュレーションメディアを思い浮かべていただくとわかりやすいかと思います。
「キュレーション」の場合は情報をまとめることで価値を生みます。 キュレーションの生み出す価値は、テーマやニーズに沿って情報がまとまっており、まとまることによって価値が生まれる点にあります。
また、キュレーションの場合、まとめられる情報がもともとそれなりの価値をユーザーに対して持っており、ユーザー側のニーズも顕在化されている、ということが条件となります。
それに対して、我々が考える『編集的創造』とは、書いて字のごとく「創造」ですので、「なかったものを創る」ということです。
その「なかったもの」は厳密には存在しないわけではないのですが、多くの場合、本人すらも気づいていなかったり、社会的に存在しない、または価値を生まないものと思われています。 いわゆる、「潜在ニーズ」と呼ばれるものです。
「編集して新しい価値を付随する」のではなく、「そもそも価値が気づかれていないニーズに対して編集して価値を創る。
弊社ではウェブメディア「ビール女子」、コミュニティと企業のマッチングサイト「ナヲナス」を展開しています。
ビール女子はビール好きな女性向け情報に特化したウェブメディアです。女性の関心事は男性以上に、様々に多様化してるため「ビール+週末おでかけ」、「ビール+おしゃれ」といった具合に、ライフスタイルの中にビールをいかに組み込むか、どんな風にビールを楽しむかという提案を行っています。
もう一つのナヲナスは世の中に点在している同じ趣味の仲間の集まり、女子会、ママサークルといった「コミュニティ」と企業を結びつけるマッチングサイトです。
これまでただメンバー間で楽しむだけだったコミュニティ活動に「マーケティングのチャネル」として意味合いを持たせ企業と結びつけることで、空きスペース活用ならぬ、空きコミュニティ活用(コミュニティマーケティング)を実現します。
ビール女子であればビールは女性向けのお酒ではない(ビールが好きな女性は女子力はないと思われるなど)といった風潮がありました。
また、ナヲナスでは、ただの趣味の集まりやサークル活動は、参加している当事者以外(マッチングする企業)への価値をもたらせる、ということに気づいている人は少数でした。
さらに、別事業である『ヨクラス』では、今も一般的には高齢者はウェブを使わないものと思われています。
我々が考える"編集的創造とは"これら、一見すると、価値がないものの裏側にある潜在ニーズを見出し、それに向けた整理した情報やコンテンツを展開することで新たな価値を創造をすることです。
"編集的創造"の事業創造の考え方
一体それが「誰に」「何を」もたらすのか。それはつねに私が事業創造を考える時に考えていることです。 ただ実はそれを一般的な感覚で見いだすことは結構難しいことで、先ほど書いたように重要なファクターは「潜在ニーズ」ですので、本人すら、その課題やニーズに気づいていない可能性があります。 ここで重要なのが「仮説検証」と「コンセプト変換」です。
"編集的創造"のプロセスは、
「裏側に存在する価値の仮説」→「課題 or ニーズの検証」→「コンセプトの明確化」→「コンセプトに基づいた編集=散らばっているものを集める」→課題解決、ニーズ達成の実現
です。
ただ、一般的には、「課題 or ニーズ」は外部には見えなかったり、世間的感覚では存在しないように思われています。
そこで「仮説検証」と「コンセプト変換」と仮説が重要になります。
ある個別事象を見つけた時に、それがどれくらいの一般性をもつのか、集まった時にどれくらいの価値を生むのか、その裏側にはどのような意味を持つのか、 また、ビジネスで考えるのではあれば、どれくらいの市場規模になるのか、何の代替え商品になるのか、を考えることが重要です。個別事象で仮説を立て、それが別事象でも当てはまりそうかを検証します。もしそれが想定できる場合、事業化できる可能性がある"編集的創造"の種だということができます。
また、潜在的ニーズはそもそも本人すらも気づいていないことが多いため、「これは私のことだ。」「これは私のためのサービスだ。」と思わせ、思わずフォローしたくなる見せ方としての明確なコンセプトが必要です。これは潜在的ニーズを持つ当事者に気づきを与えるための変換作業であり、"編集的創造"のキモといえます。
我々京橋ファクトリーでは、その『編集的創造』の意識のもと、まだ見出されていない市場の開拓、もしくはリソースの活用をテーマに、 大きな成長をしていけるよう、今後も進んでいく予定です。
なお、最近はこんなことばかり考えているので、 いろいろな事業や事象にサービスに直面すると、その裏側にある生み出せる価値やポテンシャルに着目するような癖がついてきました。 もし、新規事業立ち上げやマーケティング施策実施時に、既存のリソースをうまく活用したいというご意見がありましたら、隠れたニーズを掘りこす企画や戦略のお手伝いができると思いますので、まずはご相談ください。
皆様、今後ともよろしくお願い致します。
京橋ファクトリー代表取締役社長
八木太亮