YouTubeオーディオ広告(音声広告)が日本で開始
Googleが提供する動画共有サービス「YouTube」と音楽ストリーミングサービス「YouTube Music」への音声広告「YouTube Audio」が日本で開始されました。2020年11月17日、Googleは海外向けにYouTubeオーディオ広告(β版)の提供をはじめ、日本では2021年2月より、一部の企業でそのβ使用することが可能になりました。
YouTubeオーディオ広告(音声広告)とは
YouTubeのオーディオ広告(音声広告)とは、視聴者に対して映像ではなく音声を利用して配信される広告のことを指します。YouTubeのオーディオ広告(音声広告)は、バックグラウンドでのYoutube動画再生や、Youtube Musicでの音楽ストリーミングを楽しむユーザーをターゲットにしています。
世界的に高いシェアを誇るプラットフォーム、YouTubeでの音声広告配信は、国内・海外ともに広いユーザーへのリーチをすることができます。また、YouTube Musicには、8,000万を超える公式トラックがあり、こちらでも広範なリーチを期待できます。
YouTubeオーディオ広告(音声広告)では、YouTubeとYouTube MusicのPC、モバイル、タブレットの広告枠に音声広告を配信できます。
音声広告配信時に表示される画面には、クリック可能な「静止画」か「静止画ベースの動画」の2種類があり、CTRの計測を行うことも可能です。
Googleが公開しているYouTubeのオーディオ広告(音声広告)のイメージ
静止画を用いたオーディオ広告(音声広告)
静止画をもとにした動画を用いたオーディオ広告(音声広告)
日本国内のYouTube利用状況
YouTubeは国内で最も利用されている動画メディアですが、ここでは実際にどれくらいの数の人々が利用しているのかを見ていきたいと思います。
YouTube利用者数は7,120万人
日本国内には2024年現在7,120万人のYouTubeユーザーがいます。YouTubeは日本で最も利用されている動画共有メディアということになります。
YouTube Musicの利用者数は800万人
日本国内のYouTube Musicの利用者数は800万人で、国内第3位の音楽ストリーミングサービスです。8000万曲+YouTube 配信映像が視聴可能です。
YouTubeオーディオ広告(音声広告)のメリット
YouTubeオーディオ広告の概要やYouTubeの利用状況が分かったところで、ここからはYouTubeオーディオ広告(音声広告)のメリットについてご紹介していきたいと思います。
メリット1:音声メディアだから記憶に残りやすい
音声広告は「自分に向けられた情報」「自分に合った情報」としてうけとられ、「自分ごと」化されやすいことがradikoが行った研究で脳科学的に明らかにされています。また、映像広告と比較して、音声広告は交感神経優位となり、情報に対する注意が高まった状態でリスナーと接触します。こうしたことから音声広告は記憶の維持率が高いことが脳科学的に裏付けられています。
メリット2:ブランディング効果が高い
音声広告の強みのひとつに、「ブランディング性能の高さ」が挙げられます。Nielsen Media Labが2017年に公開した調査結果では、Spotifyオーディオアドでは一般のウェブサイトのディスプレイ広告に比べて、ブランド想起が24%、関心・購買意欲が2倍、広告理解が28%上昇したという調査結果が出ています。
実際にYouTubeが測定した数か月にわたる音声広告のテスト配信でも、実施したキャンペーンの75%以上が、ブランド認知度を大幅に上昇させたことが明らかになりました。
In our months of alpha testing, we found that more than 75 percent of measured audio ad campaigns on YouTube drove a significant lift in brand awareness.
参照元:OFFICIAL BLOG - Google Ads & Commerce「Audio ads on YouTube expand reach and grow brand awareness」
メリット3:広告制作コストの削減が期待できる
オーディオ広告では、動画広告のように作りこんだ動画の制作が求められていないといえます。つまり、撮影コストや編集コスト、人件費などがかからなくなります。それによって大幅な制作コストの削減が期待できます。
YouTubeオーディオ広告の出稿方法|①セルフサーブ配信
ここからはYouTubeオーディオ広告(音声広告)の出稿方法を紹介します。YouTubeに音声広告を出稿する方法はセルフサーブ配信とDSP 配信の二つのやり方がありますが、ここではまずセルフサーブ配信の方法をご紹介します。
セルフサーブとはYouTubeが用意している独自の広告配信プラットフォームを利用して、広告主が自ら広告の配信と管理を行う方法です。
広告の仕様(フォーマット)
広告素材は15秒以下のmp4素材をYouTubeにアップロードする形で入稿します。動画のファイルサイズ 最大128GBです。クリエイティブのサイズは動画広告と同様の縦横比 16:9が推奨されています(4:3の場合は画面の左右に黒い余白が表示される)。実際に出稿する際には、アップロードしたYoutube動画へのリンクが必要になります。
必要な素材 | Youtubeにアップされた素材のリンク |
広告の長さ | 最長30秒 (15秒まではスキップ不可広告として配信) |
ファイルサイズ | 最大128GB |
解像度 | 426 x 240 (240p),640 x 360 (360p) 854 x 480 (480p),1280 x 720 (720p) 1920 x 1080 (1080p),2560 x 1440 (1440p) 3840 x 2160 (2160p) |
アスペクト比 | 16:9 (4:3の場合は横に黒い帯が表示されます) |
セルフサーブ配信の手順
Step 1. Google Adsアカウントを作成またはログイン
まず、Google Adsにアクセスし、広告キャンペーンを設定するためのアカウントを作成、またはログインします。
Step 2. キャンペーンの作成
ログイン後、Google Adsのダッシュボードから「作成」をクリックし、ポップアップの「キャンペーン」という項目を選択します。
Step 3. キャンペーンの目標を選択
広告キャンペーンの目標を選択します。オーディオ広告の場合、「ブランド認知度と比較検討」を選ぶことが多いです。
Step 4. キャンペーンのタイプを選択
キャンペーンタイプは、ここでは「動画」を選択します。これはYouTube上で配信される広告を設定するための選択です。
Step 5. キャンペーンのサブタイプを選択
キャンペーンのサブタイプは「オーディオ広告」を選択します。これにより、オーディオに特化した広告の設定となります。
Step 6. キャンペーンの詳細を設定
キャンペーン名、予算、広告スケジュール、ターゲティングオプション(地域、言語、デバイス、オーディエンスなど)を設定します。
Step 7. ターゲティング設定
オーディエンスのターゲティング設定を行います。ターゲットとする視聴者層(年齢、性別、興味など)を詳細に設定します。
Step 8. クリエイティブのアップロード
広告クリエイティブをアップロードします。YouTubeオーディオ広告(音声広告)では、クリエイティブをまずYouTubeにアップロードする必要があります。
Step 9. 入札単価の設定
最後に入札単価の設定を行います。広告の1000回表示に対していくら払うかの目標数値を記入します。この値の相場は10~500円程度と幅広いのでキャンペーンや予算に合わせて設定する必要があります。入札単価の設定まで終われば広告は設定は終了です。広告が実際に出稿されたら、正しく広告が機能しているか確認しましょう。
セルフサーブ配信の特徴
初心者向け
YouTubeオーディオ広告では、YouTubeプラットフォームに最適化された管理ツールが提供されており、広告の作成や運用は直感的でシンプルです。特別な専門知識がなくても、短時間で広告を出稿できるため、初心者向けともいえます。
予算管理がしやすい
YouTubeでは専用プラットフォームから予算をダイレクトに管理できるため、コストを最適化しやすく、少額の予算でも効率よく広告を出稿できます。例えば、1日単位での予算設定や、成果に応じた支出管理が可能です。
広告フォーマットと拡張性
YouTubeではプラットフォームの特徴活かして簡単な動画を用いて視覚的に訴えることが可能なクリエイティブも作成可能です。ただし、YouTube以外のフォーマットに向けての柔軟性は低い可能性があります。
YouTubeオーディオ広告の出稿方法|②DSP配信
YouTubeに音声広告を出稿する二つ目の方法はDSP(デマンドサイドプラットフォーム)を利用して配信する方法です。
DSPを用いた配信は複数のプラットフォーム(YouTube、Spotify、Apple Musicなど)での広告配信が可能で、大規模なキャンペーンを効率的に管理・運用することができます。
DSP配信の手順
Step 1. DSPに登録する
まず、Google DV360やThe Trade DeskといったDSPにアカウントを作成します。
Step 2. ターゲットプラットフォームを選定
音声広告を配信したいプラットフォームを選定します。たとえば、YouTube、Spotify、Apple Musicなどがあり、配信目標に合わせて適切にプラットフォームを選択します。
Step 3. ターゲティング設定
各プラットフォームごとに、ターゲティングオプションを設定します。年齢、性別、興味、地域など、リスナーの行動に基づいた詳細なターゲティングを行う必要があります。
Step 4. 広告クリエイティブの最適化
クリエイティブは各プラットフォームに合わせて最適化します。音声広告の長さは通常15~30秒で、リスナーの関心を引くための明確なメッセージやCTAを含めることが重要です。プラットフォームによっては画像素材や動画素材必要になることもあります。
Step 5. キャンペーンを実行
広告設定が完了したら、DSPを通じてキャンペーンを実行します。広告が各プラットフォームでリスナーに届くように、設定した予算やスケジュールに基づいて配信が開始されます。
Step 6. パフォーマンスを監視・最適化
広告が配信された後は、DSPのダッシュボードを使ってインプレッション数やCTR、CPAなどのパフォーマンスを監視し、必要に応じてキャンペーンを最適化します。これにより、広告効果を最大化することができます。
DSP配信の特徴
運用の柔軟性
DSPを使うと、複数のプラットフォーム(YouTube、Spotify、Apple Music、他のウェブサイトなど)にまたがって広告を配信できます。これにより、一つのキャンペーンを一元的に管理し、複数のチャネルでターゲットユーザーにリーチできるという柔軟性があります。
高いターゲティング精度
DSPを使うと、YouTubeに加えて他のプラットフォームから集められた膨大なデータセットに基づいてターゲティングできます。これにより、複数のデータソースを活用してクロスチャネルで一貫したターゲティングを行うことが可能です。また、リターゲティングや、リアルタイムでのオーディエンス調整が可能なため、広告効果をさらに高めることができます。
広告管理と運用の効率
DSPを利用することで、一つのダッシュボードで複数の広告キャンペーンを管理できるため、複数のプラットフォームに広告を配信する際に非常に効率的です。例えば、YouTubeとSpotify、ウェブサイトなど複数のメディアにまたがるキャンペーンでも、一元的にパフォーマンスをモニタリングして最適化できます。ただし、DSPの運用には一定の専門知識が必要で、初心者にはやや難しい部分もあります。
セルフサーブ配信とDSP配信を比較
ここまでYouTubeオーディオ広告の二つの配信方法を紹介しましたが、どちらの配信方法を用いるのが適切でしょうか。それぞれの配信方法の特徴をまとめると下記のようになります。キャンペーンの規模や運用にかけられる労力などを加味しながら、適切な配信方法を見つけてください。
項目 | セルフサーブ | DSP |
---|---|---|
運用の柔軟性 | YouTubeに特化。柔軟性は低い | 複数のプラットフォームで広告を配信、柔軟性が高い |
ターゲティング精度 | YouTubeデータのみを使用したターゲティング | 複数のデータソースを使用したクロスチャネルターゲティング |
管理と運用 | シンプルで、初心者向け | 効率的だが初心者には難しい |
コスト管理 | 少額の予算向け | 大規模キャンペーン向け |
データ分析と最適化 | YouTube内の広告パフォーマンスをリアルタイムで分析 | 複数プラットフォームのリアルタイムデータを統合的に分析 |
YouTubeオーディオ広告(音声広告)のクリエイティブ制作のポイント
ポイント1 : 強力なオープニングと簡潔なメッセージ
広告では最初の5秒でリスナーの注意を引くことが重要だといわれています。明確でインパクトのあるメッセージや質問を使って、リスナーの関心を引くことが重要です。また、早めにブランド名や製品名を紹介することで、リスナーがどの企業の広告かをすぐに理解できるようにすることがポイントです。
ポイント2 : 聞き取りやすいナレーションと音質確保
広告のナレーションはクリアで聞き取りやすい発音で、リスナーがメッセージを正確に理解できるようなものである必要があります。BGMやサウンドエフェクトによって広告を適切に演出するのも効果的です。そして、広告音声は音量や音質の入念なチェックが行われ、聞き取りやすいものである必要があります。
ポイント3 : コールトゥアクション(CTA)の設置
広告の最後に、リスナーが次に取るべき行動を明確に伝えます。例えば「今すぐダウンロードしてください」など具体的な指示を与えます。また、期間限定のオファーや特別なプロモーションなどの緊急性を提示することで、リスナーに行動を促すのも効果的です。
ポイント4 : 動画、画像素材のクオリティ
YouTubeオーディオ広告(音声広告)は音声だけでなく、動画や画像の素材も見られることもあるため、適切な素材を制作することが重要です。キャンペーンの内容やイメージが伝わるようなシンプルかつ魅力的な素材を作成し、設定することが重要です。
YouTubeオーディオ広告(音声広告)の事例
YouTubeオーディオ広告(音声広告)にはすでに出稿事例が存在しています。ここでは実際にどのような音声広告が配信されたのかを国内海外の事例からいくつかご紹介します。
事例1:サラヤ株式会社 『100万人の手洗いプロジェクト』
日本の医薬品メーカーのサラヤ株式会社はユニセフと共同で行っている衛生関連プロジェクト『100万人の手洗いプロジェクト』の認知拡大を目的としてYouTubeオーディオ広告配信を実施しました。実際のクリエイティブには音声だけでなく、手洗いの様子や製品のイメージ、プロジェクトが推進されているアフリカの様子の静止画が用いられているのがわかります。YouTubeオーディオ広告ならではのクリエイティブの事例です。
事例2:アメリカの写真会社「Shutterfly」
初期の試行段階で音声を使用して広告配信を行ったShutterflyは、ターゲティング等を活用し、興味関心を持つ可能性の高いユーザーに訴求したことで、広告想起が14%上昇、ターゲットオーディエンスの好意は2%上昇する結果を得ました。その際に使用した実際のクリエイティブが公開されています。
事例3:スペインの自動車メーカー「SEAT」
SEATは既存の音声クリエイティブをYouTubeでも再活用して、「イビザFR」という車のモデルを訴求するキャンペーンを実施しました。YouTubeオーディオ広告(音声広告)のターゲティングを使用して、テクノロジーやソーシャルメディアに親しみのある層や、自動車市場に関心のある層にリーチに広告配信を行いました。結果として、SEATは広告想起を21%上昇させ、ブランディングの向上に成功しています。
YouTubeオーディオ広告はオトナルにご相談ください!
近年、YouTubeオーディオ広告に限らず音声広告全体が広告メディアとして非常に注目されています。オトナルは音声広告専門の広告代理店として、これまで数多くの広告制作、配信、運用を行っています。
ここからはオトナルが手掛けるYouTubeオーディオ広告ソリューションの特徴をご紹介します。
ターゲティングによるパーソナライズ化された広告配信
YouTubeオーディオ広告(音声広告)ではユーザー属性、キーワード、カテゴリー、ユーザーの興味・関心、エリア、デバイスなどで
ターゲティングを行い、それぞれのユーザーにマッチした広告配信ができます。広告主は、商材や広告キャンペーンに最適な広告配信を行うことが可能です。
複数の方法で広告配信の効果検証が可能
YouTubeオーディオ広告(音声広告)配信後に、ブランドリフト調査、リッスンスルーコンバージョン(間接CV)、来店コンバージョン(地点CV)など、商材にあわせた方法で効果検証が可能です。クリエイティブやターゲティングのABテストなどで広告効果を可視化し、運用改善を行うことによりその効果を最大化できます。
オトナルはDSPを活用し複数メディアの音声広告枠へ連携配信も
オトナルではDSP(広告主が広告を管理するプラットフォーム)を使用した配信を行っており、YouTube以外のメディアの音声広告枠(Spotify音声広告、radikoオーディオアド、ポッドキャストオーディオアドなど)への配信が可能です。レポーティングも共通の指標で一括で行います。
さらに詳しく知りたい方へ
より詳細なYouTubeオーディオ広告(音声広告)の内容を知りたい方は、『YouTubeオーディオ広告(音声広告)』から無料で資料ダウンロードいただけます。また広告商品概要はYouTubeオーディオ広告(音声広告)『YouTube Audio』でもご紹介しています。