デジタルでの音楽ストリーミングサービスが話題になっている昨今において、特に注目すべきは、Spotifyです。Spotifyは、180か国以上の地域で5.7億人以上のユーザーがおり、日本でも1,450万人以上がであり、日本で最もリーチの力ある音楽プラットフォームと評されています。
そのSpotify広告サービスが2025年4月以降、Spotifyにおけるセルフサーブ広告を実現できる新機能の「Spotify広告マネージャー(アドマネージャー)」を提供開始します。
そこで本記事では、Spotifyの新機能「Spotify広告マネージャー」の概要や広告配信の仕組み、運用するうえでのメリット・デメリットなどをご紹介します。Spotifyに広告出稿を考えている方、Spotify広告の仕組みを知りたい方はぜひご覧ください。
Spotify広告とは
Spotify広告とは、音楽ストリーミングサービスSpotify上で配信される広告です。
Spotify広告はの特徴は大きく分けて2つあります。
- 3つの形で広告を配信することが可能
- スキップされない、完全再生率が高い
Spotify広告の特徴その1. 3つの形で広告を配信することが可能
Spotifyでは、音声、動画、ディスプレイバナーの3つの形で広告を配信することが可能です。出稿方法により多少の違いはあるものの、この3つの形式で広告配信ができます。スマートフォンやパソコンなど、再生される端末によって、最適な形で広告配信を行っています。
Spotify広告の特徴その2. スキップされない、完全再生率が高い
Spotify広告において、画面を見ているときに表示される動画広告やスキップできない音声広告など、非常に認知しやすい広告を誇ります。その証拠として、完全聴取率は95%超を保っています(Spotify媒体資料より引用)。結果として、リスナーに対して確実にブランドメッセージを届けることができ、より多くのリーチを獲得できるのがSpotify広告の特徴です。
詳しく知りたい方はこちら:Spotify広告を解説!広告事例やそのメリットをわかりやすく紹介
Spotifyの運用型広告
Spotify広告マネージャーは、Spotify広告における運用型広告を配信、運用するサービスです。Spotifyの運用型広告には、PMPと広告マネージャーという2種類があります。
ここでは、2つのサービスを詳しく解説する前に、サービスの違いについてざっくり説明します。以下の画像をご覧ください。
PMPは特定媒体の広告枠を買い付けできるシステムに対して、Spotify広告マネージャーは誰でもSpotifyを配信できるシステムのことです。PMPの特徴は、複数媒体に広告出稿ができることです。一方、Spotify広告マネージャーの特徴は、広告クリエイティブを自身で制作できることです。
PMP(プライベート・マーケット・プレイス)とは
PMP(プライベート・マーケット・プレイス)とは、広告主が特定の媒体の広告枠を指名買いできる広告取引市場です。ただ指名買いするだけでなく、DSPという広告配信プラットフォームを利用することで、配信の経過を確認しながら、期間やターゲティングセグメントを柔軟に変更できるのが特徴です。
ここからはPMPの強みを以下の3点から解説していきます。
- 買い方
- ターゲティング
- レポーティング
PMPの強みその1. 買い方
PMPを通じた広告の買い方はオークション制で広告枠を買い取る仕組みです。オークションはRTB(リアル・タイム・ビッディング)という仕組みにより、Spotifyにある広告の1回の表示につきオークションが行われ、最も高額の入札単価を提示した広告主の広告が表示されます。
RTBの所要時間はわずか0.1秒未満で、ユーザーが新規そのページが表示されるまでのわずかな時間にこの取引が行われます。
PMPのその強み2. ターゲティング
広告を配信するうえで、訴求したいユーザーを正確に捉えるために、ターゲティングを行うことは重要です。PMPでのターゲティングは2つのデータを用いたターゲティングを行います。
- ファーストパーティーデータ
- サードパーティーデータ
ファーストパーティーデータとは、企業が自社で保有している顧客データです。Spotifyの場合は、ユーザーの氏名や生年月日、メールアドレス、楽曲再生の履歴、聴取しているポッドキャスト番組などの詳細はファーストパーティーデータに該当します。
対して、サードパーティーデータは第三者が提供するデータです。例えば、以下のようなデータを指します。
・天気
・時間帯
・位置情報
・興味関心
・年収
ファーストパーティーデータとサードパーティーデータを駆使することで、広告を訴求したいユーザーを正確にターゲティングでき、広告配信を高度化できます。
PMPの強みその3. レポーティング
広告の配信終了後に、広告が目的に沿った効果が表れているかどうかを、DSPから配信されるレポーティングで確認できます。DSPならではの数値が共有され、施策の成功や、次回の広告戦略の策定など、参考になるデータがあります。
Spotify広告マネージャーとは

引用:Spotify媒体資料
2025年4月提供開始のSpotifyの新機能、「Spotify広告マネージャー(アドマネージャー)」の概要について解説していきます。
Spotify広告マネージャーを一言でいうと、「誰でもSpotifyに広告出稿ができる仕組み」です。
従来のSpotify広告は、広告代理店に依頼をしないと出稿ができませんでした。しかし、Spotify広告マネージャーでは、目標(KPI)の設定や、ユーザーのターゲティング、クリエィティブ(音声)制作、広告の出稿、効果測定などを広告主が独自で設定できます。代理店を介さないことで、自由度の高い広告運用が実現し、利用者にとって納得感のある広告制作ができると考えられます。
そして、Spotify広告マネージャーは、前述したPMPの配信システムを採用しているので、PMPの強みを活かしながらも、クリエイティブを実践的に制作できます。
Spotify広告マネージャーの広告出稿フォーマット
ここからは、Spotify広告マネージャーの3つの広告出稿フォーマットをご紹介します。
- キャンバス
- オプトインビデオ
- CTAカード
Spotify広告マネージャー特有の広告その1. キャンバス

引用:Spotify媒体資料
「キャンバス」は、Spotifyのアプリを画面で開いているときに、音声広告の代わりに3~8秒の無音動画をループで表示する広告フォーマットです。
TikTokやYouTube Shortsで流れるような縦型動画広告の無音バージョンです。
キャンバスはSpotifyユーザーとの親和性が高く、エンゲージメントが期待できるフォーマットです。インプレッション、リーチ、クリック数など、広告主の様々な目的に沿った戦略に対応できることが魅力的です。
Spotify広告マネージャー特有の広告その2. オプトインビデオ

引用:Spotify媒体資料
「オプトインビデオ」は、モバイルでの楽曲再生中(Now Playing)に無音の動画広告が再生される広告フォーマットです。ユーザーは広告をタップしてミュートを解除することができ、広告内にあるCTAボタンをタップすると、ブラウザで広告主のサイトに遷移します。

引用:Spotify媒体資料
キャンバスとは異なり、楽曲再生中の画面に広告出稿をすることから、音楽ストリーミングサービス独特の広告手法となっています。
Spotify広告マネージャー特有の広告その3. CTAカード

引用:Spotify媒体資料
特定広告がユーザーに配信されたあと最大7日間、Spotifyアプリ内の様々な場所に、セットで広告主様のロゴ、広告主名、タグラインとCTAボタンが表示されるフォーマットです。
画面オフの状態で聞いた広告であっても、その後にSpotifyアプリを操作している際にCTAカードが現れ、カードをクリックしてサイトに移動させることができます。
広告マネージャーとPMPの比較
広告マネージャーとPMPの機能面や運用方法における比較をしていきます。以下の画像をご覧ください。
広告の出稿先においては、広告マネージャーはSpotifyのみに対し、PMPはSpotifyを含めた複数プラットフォームに出稿できるという特徴があります。
始め方に関しては、広告マネージャーは専用アカウント作成するだけで運用開始できますが、PMPはDSPを直接運用、またはDSPを代理運用してくれる広告代理店に依頼することで実現できます。
ターゲティングでは、どちらも年齢や性別、リスナーの位置情報を利用できます。広告マネージャーはPMPのターゲティングリストにない「言語」をセッティングできます。逆に、PMPでは、サードパーティー(3P)データやキャリアをターゲティングできます。
フォーマットでは、広告マネージャーはフォーマットが豊富な一方、PMPは限定されたフォーマットでの訴求になります。
Spotify広告マネージャーのメリット
Spotify広告マネージャーを用いた広告運用のメリットをご紹介します。
- ターゲットを絞って広告を出稿できる
- 音声クリエィティブを自分で制作できる
- 広告の効果や結果が分かる
メリットその1. ターゲットを絞って広告を出稿できる
Spotify広告マネージャーでは、広告主が設定したターゲティングデータに則った広告配信を実施できます。デジタル広告の特徴の一つとして、サービスや商品を利用するユーザーに広告を届けるために、ユーザーデータを基にの高精度なターゲティングができます。
Spotify広告マネージャーでは以下のようなターゲティングメニューがあります。
- オーディエンス属性
- 年齢
- 性別
- ロケーション(地域)
- 言語
- リアルタイムターゲティング
- 音楽ジャンル
- プレイリスト
- ポッドキャストエピソードのテーマ
- オーディエンスセグメント
- 興味関心
- ファンベース
さらに、それぞれのターゲティングメニューの詳細は以下の通りです。
ターゲティングメニュー | 具体例 |
---|---|
年齢 | 13-17歳 / 18-24歳 / 25-34歳 / 35-44歳 / 44-54歳 / 55-64歳 / 65歳以上 |
性別 | 男性 / 女性 / 全て(ノンバイナリー等含む) |
ロケーション(地域) | 都道府県毎に設定可 |
音楽ジャンル | EDM / ヒップホップ/ ジャズ / ポップ / R&B / ロック など |
プレイリスト | チルアウト / 料理 / ディナー / フォーカス / ゲーム / ホリデー / パーティー / 勉強 / トラベル / ワークアウト |
ポッドキャストエピソードのテーマ | 車 / 読書と文学 / ビジネスとファイナンス / キャリア / 教育 など |
興味関心 | 学問への興味 / スポーツ / 人文科学 - 歴史 など |
ファンベース | ユーザーが任意でアーティストを選択。そのアーティストの楽曲等を聞いている、保存している など |
このように、広告を配信したいユーザーに訴求できるような詳細なターゲティングを設定することができます。
メリットその2. 音声クリエィティブを自分で制作できる
Spotify広告マネージャーでは、ご自身で音声クリエイティブを制作できます。前述したターゲティングに関しては、代理店への広告運用を依頼する場合でも、代理店と相談しながら設定することができますが、クリエイティブ作成は完全にお任せすることになると思います。
一方、Spotify広告マネージャーでは、Spotifyによる台本が用意されており、音声クリエイティブの作成機能が充実しています。例えば、音声CMの制作方法として、Spotifyが用意した台本を入稿することで自動で音声が生成されます。
また、ナレーターの選択や発音やトーンなどの詳細な指示を出すことも可能です。さらに、出力された音声へのフィードバックを行い、そのフィードバックに応じて修正した音源を生成することができます。
メリットその3. 広告の効果や結果が分かる
広告主にとって、配信した広告がユーザーに効果的に訴求されているのか、コンバージョンに繋がっているのかが一番気になること。Spotify広告マネージャーでは、広告キャンペーンごとにレポーティングを閲覧できます。インプレッション数やリーチ、フリークエンシー、コンバージョンなど、効果測定の基準となる数値が出力されます。これらの基準は、Google AnalyticsやGoogle Adsなどの広告配信プラットフォームで閲覧できるようなデータを確認できます。
Spotify広告マネージャーのデメリット
Spotify広告のマネージャーを運用する際には、注意しなければいけない点を解説します。
- 広告素材(クリエィティブ)を1から作らなければいけない
- 効果や結果が保証されない
- デジタル音声広告に関する知識の必要性
デメリットその1. 広告素材(クリエィティブ)を1から作らなければいけない
クリエイティブ制作に慣れていないと、広告制作への作業時間を大きく割くことになるでしょう。Spotify広告マネージャーは自分で制作できるという点で自由度が高い一方、利用者の制作スキルに大きく依存する形になります。
その結果、広告制作から配信までに広告代理店へ依頼する場合より、時間や工数を要することが考えられます。
デメリットその. 効果や結果が保証されない
広告配信の目的は広告主によって様々ではありますが、目的達成のためには、広告戦略の質が鍵です。
ざっくりと広告戦略を説明すると、以下のような要素があります。
- 訴求したいターゲット層に確実に捉えることのできる「ターゲティング」。
- ターゲット層の行動喚起するような「クリエイティブ制作」。
- 広告の効果が発揮されているのかを参照する「データ分析」。
他にも細かいステップを含めると広告戦略は奥が深く、明確に正解と呼ばれるメソッドはあまりないといわれています。広告戦略のプロである広告代理店に依頼すれば、ある程度の効果や結果が見込めますが、利用者独自の広告配信では、目的に沿った効果の保証ができないと考えられます。
この点においても、ユーザーの広告配信への包括的なスキルがなければ、求めている効果を得られないかもしれません。
デメリットその3. デジタル音声広告に関する知識の必要性
日本の広告業界にとって、デジタル音声広告は発展途上な領域です。そのため、目的達成のための捉えるべき最適な数値や運用効果の判断基準が広く知られていません。利用者の中でもその判断基準を持っている人は多くはないでしょう。
音声広告に関して、指標の判断基準を明確にしないと、前述したような適切な広告制作や効果の判断などが難しいです。
最適な広告運用をするため、自社のマーケティング担当者、もしくは広告の運用担当者がSpotify広告に関する知識を身に付ける必要があります。
\音声広告の最適な指標判断を行うために/
Spotify広告の詳細を以下からご覧いただけます。
Spotify広告の資料を確認する
Spotify広告マネージャーまとめ
ここまで、Spotifyの新機能「Spotify広告マネージャー(アドマネージャー)」を解説をしていきました。
Spotify広告マネージャーの最大の魅力は、広告代理店経由でしか出稿ができなかったことに関して、個人での運用ができること。
とはいえ、広告配信におけるあらゆるフェーズをご自身で行い、目的に合った結果を出すためには、デジタルマーケティングへの知識や深い洞察力が必須です。
つまり、「デジタルマーケティングの知見のない企業が実施しても有意な配信にならない」ということです。
ただでさえ運用が複雑で成果がでるまでに時間のかかる運用型広告、そして日頃から配信していないと知見が貯まらないデジタル音声広告どの単独の運用では、定量的な成果はあまり見込めないでしょう。
Spotify広告の運用ならオトナルへ
そこで、おすすめしたいのが、オトナルでのSpotify広告の代理運用、および総合的なデジタル音声広告の運用です。
Spotify広告パートナーとして、Spotify広告へ深い理解
オトナルは、Spotify広告の公式認定パートナープログラム「Spotify Advertising PARTNER」に認定されています。同プログラムはSpotifyのサービスや広告商品を活用し、広告主のキャンペーンに対しての貢献度が高いと評価された広告代理店や広告関連企業が受ける公式の認定制度です。
それゆえにオトナルは、様々な企業のSpotify広告配信サポートの実績があり、「クライアントの依頼を達成するにはどんな広告が最も効果的か」を熟知しています。Spotify広告配信をご検討されている方は、是非オトナルにお任せください。
詳しくは『Spotify音声広告配信』から資料ダウンロードいただけます。
Spotify広告マネージャー代理運用サービス『Otonal Spotify Ad Lite』
さらに、オトナルでは、新たにSpotify広告マネージャーの代理運用プラン「Otonal Spotify Ad Lite」を展開しております。
オトナルは音声広告のリーディングカンパニーとして、豊かな実績と運用ノウハウを基にSpotifyの広告価値を最大限引き出す広告プランニング、運用を実施いたします。
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Spotify広告マネージャー代理運用「Otonal Spotify Ad Lite」
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オトナルはデータ活用による音声広告のプランニングから、クリエイティブ制作、広告配信、レポーティングまで、音声×マーケティング施策をトータルでサポートできます。これまで2,000件以上の音声広告プランニング、700件以上のクライアントの出稿・運用改善をサポートしてきた実績があります。
広告出稿にご興味ある方は、是非オトナルにお任せください。
詳しくはデジタル音声広告媒体資料一覧からご覧ください。