ポッドキャストとはインターネットラジオの一種で、インターネット上でmp3などの音声ファイルを公開する方法です。
RSSフィードという仕組みを通じてサーバーに上げた音声ファイルの公開を行うことで、ポッドキャスト再生機能のあるさまざまなアプリやプラットフォームで音声ファイルを聴くことができ、リスナーは自分の好きな方法で音声コンテンツを楽しむことができます。
ポッドキャストは、その配信の仕組みやアクセスのしやすさによって、2023年時点で米国においてポッドキャストを聴いたことがあるユーザーは64%まで拡大しています。
ポッドキャスト(Podcast)とは
もともとはAppleの「iPod(アイポッド)」シリーズと、放送を意味する「ブロードキャスト」を組み合わせて生まれた造語で、2003年にRSSフィードを活用して音声をiPodに送る技術が考案されました。
2005年6月にはアップルコンピュータのミュージックプレーヤーであるiTunesが、RSSフィード経由で送られるポッドキャストをアプリケーション上で聴くことのできる機能(フィードリーダー機能)を提供しはじめました。この仕組みを使った配信方法および聴き方が今日の主流なポッドキャストの特徴となっています。
ポッドキャストの仕組み
ポッドキャストは、MP3のオーディオファイルなどをサーバーにアップロードして公開する仕組みです。
その仕組みの特徴的な点は、RSSフィードを通じて音源ファイルをソースコードに記載して公開できることにあります。リスナーは配信されたホスティングサービス上の音源ファイルにアクセスし、自分のWebブラウザでポッドキャストファイルをダウンロード・再生したり、SpotifyやApple Podcastのようなポッドキャスト再生用のアプリを通じて、RSSフィード経由で音声コンテンツの更新を受け取り再生することができます。
上記でも触れましたが、もともと、このRSSフィードの仕組みはニュースやブログなどインターネット上の文章ファイルの更新情報を配信する仕組みとして生まれました。
音声の話とは別ですが、例を挙げると、グノシーやスマートニュースのような複数のWebメディアやブログの記事を読むことのできる「ニュースアプリ」も、このRSSフィードの仕組みを用いてWebサイト記事の更新情報を受け取っています。これらのRSSフィードを受け取れるアプリケーションを、フィードリーダー(feed reader)やフィード・アグリゲーター(feed aggregator)と呼びます。代表的なポッドキャストを聴くためのフィードリーダーアプリとしては後述のApple PodcastやSpotify、Amazon Musicがあります。
ポッドキャストの音声コンテンツを受け渡すRSSフィードとは
RSSは、RDF Site SummaryあるいはReally Simple Syndication、Rich Site Summaryなどの略称で、もともとはニュースやブログなどWebサイトの更新情報を配信するための文書フォーマットです。
RSS(バージョンによってRich Site Summary, RDF Site Summary, Really Simple Syndication)は、ニュースやブログなど各種のウェブサイトの更新情報を配信するための文書フォーマットの総称である。
参照元:Wikipedia「RSS」
XMLというマークアップ言語によって記述されたfeed(フィード)と呼ばれる更新情報を、フィードリーダー機能を持つアプリやWebサービスが受信することで、コンテンツの更新情報などを取得できる仕組みです。
ポッドキャストを聴く方法
ポッドキャストの配信先はここ数年でさらに発展を見せつつあります。以前は代表的なポッドキャストのフィードリーダーであるiTunesと、いくつかのサードパーティアプリ、Webサイトなどで聴かれていたポッドキャストでしたが、最近はSpotify、Amazonなど大手プラットフォーマーがポッドキャストの配信先として参入をはじめており、大手音楽配信サービスやスマートスピーカーなど、さらに複数の配信先に音声コンテンツを配信することができるようになりました。
Apple Podcast
iTunesを展開していたAppleは2019年の6月にこれまで音楽や動画コンテンツなどの複合的コンテンツプラットフォームだったiTunesからポッドキャストを分離し、独立したアプリ「Apple Podcast」を開始しました。iTunesのコンテンツは、ポッドキャスト、TV、ミュージックの3つのアプリに分離され、これによりポッドキャストコンテンツをユーザーが探しやすく、より聴きやすくなりました。
Spotify
Spotifyは2008年にサービスを開始したスウェーデン発の音楽ストリーミングサービスです。1億曲以上の音楽と600万以上のポッドキャスト番組を配信しており、全世界で6億人以上のユーザーに利用されています。
Spotifyは2019年から2020年にかけて、5社のポッドキャスト関連スタートアップを買収しました。2019年には、オリジナルポッドキャストシリーズを配信する制作スタジオのGimlet Media(ギムレット・メディア)、ポッドキャスト制作プラットフォームのAnchor(アンカー)、そしてポッドキャスト制作スタートアップのParcast(パーキャスト)を買収しています。
さらに2020年には、スポーツやポップカルチャー番組を展開するThe Ringer(リンガー)を買収し、世界のポッドキャストチャート上位にランクインしているジョー・ローガン(Joe Rogan)やキム・カーダシアン(Kim Kardashian)との独占契約を締結。また、ポッドキャストホスティング会社のMegaphone(メガフォン)も買収しました。
Amazon Music
2020年の9月にはSpotify同様に音楽配信サービスである「Amazon Music」でもポッドキャスト配信が可能になりました。同サービスでは音楽と一緒にポッドキャストも再生して楽しむことができます。
スマートスピーカー「Amazon Echo」の連動性を活かしたポッドキャスト再生
Amazon Musicはスマートスピーカー「Amazon Echo」との連動性が高い点が特徴です。Google同様にAmazon Musicにポッドキャスト配信したコンテンツを「アレクサ、(ポッドキャスト名)を再生して」のように話しかけることで、スマートスピーカーAmazon Echoでポッドキャストコンテンツを再生することが可能です。
各サービスへのポッドキャストの配信方法
Spotifyへのポッドキャスト配信方法
2019年の8月にローンチされた「Spotify for Podcasters」から、一般の人でも簡単にSpotifyにポッドキャストの音声番組をアップロードできるようになりました。また、2019年に買収したAnchor(アンカー)というアプリでは、サーバー費なしで誰でもスマートフォンなどから気軽にポッドキャストコンテンツの配信をはじめることができます。
Amazon Musicへのポッドキャスト配信方法
「Amazon Music Podcasts」のページから配信申請を行い、RSSフィードを登録することで、誰でもAmazon Musicにポッドキャストの配信を行うことができます。
その他:企業向けポッドキャスト配信システム
ポッドキャスト配信システム(Content Management System、一元的に保存・管理するシステム)とは、ポッドキャストの配信・データ保存・管理機能を提供するサービスです。ポッドキャスト配信システムを利用することで、配信者は効率よく配信が行うことができます。
詳しくは、「企業向けのポッドキャスト配信システム(CMS)とは?代表的CMSの7選を比較」をご確認ください。
ポッドキャスト(Podcast)番組の見つけ方
ポッドキャストは全体的に自分の関心に近い物事について好きな時に気軽に聴くことができる、というところに特化していると言えるでしょう。人気ポッドキャスト番組はポッドキャストランキングから確認することができます、まずは人気の番組から聴き始めてみてはいかがでしょうか。