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ソニックブランディングとは？サウンドロゴから広告BGMまで「音」の効果と成功事例を解説

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公開日：2025.11.27

ソニックブランディングとは？「音」の効果やメリットを事例とともに解説

私たちの身の回りには、企業やブランドがブランディングを目的に発信する“音”があふれています。

こうした音を活用し、統一された戦略をもってブランドイメージや商品イメージを印象づける体系的なアプローチのことを、「ソニックブランディング」と呼びます。

特に企業やブランドのアイデンティティを象徴する「サウンドロゴ」は、マーケティングに欠かせない“音”のひとつです。聴覚に訴求することで生活者の無意識下の記憶に残り、ブランド想起率や認知度の向上に深く寄与します。

本記事では、ソニックブランディングの基礎知識や効果、実施メリット、活用事例までわかりやすく解説します。ソニックブランディングのことが網羅的に把握できる内容となっているので、ぜひご一読ください。

ソニックブランディングとは

ソニックブランディングとは、音を活用してブランドイメージや商品イメージを印象づけるブランディング手法です。ロゴやカラーといった従来の視覚的な方法に対し、音を通じて消費者の記憶や感情に直接働きかけるという特徴があります。

ソニックブランディングとは？「音」の効果やメリットを展開事例とともに解説

ソニックブランディングは生活やサービスのあらゆる接点で活用されており、以下のような特徴があります。

概要	効果	活用シーン
企業や商品を象徴する短い音のロゴ	企業名やブランド認知度の向上	・CM冒頭や締めくくり・アプリの起動音　などオトナルで制作可能
ブランドの世界観を表現するオリジナル楽曲	企業や製品の世界観を音楽で伝えることブランドとの感情的な結びつき（エンゲージメント）の醸成	・広告やプロモーションビデオオトナルで制作可能
ラジオや音楽ストリーミングサービスなどに挿入される音声/楽曲形式の広告	ブランド認知度の向上高いフリークエンシー（接触頻度）によるブランド想起率の強化	・音声広告（Spotify、radiko、ポッドキャストなど）として配信オトナルから出稿可能
企業やブランドが主体となって制作・配信する音声コンテンツ	リスナーとの継続的な関係構築（エンゲージメントの深化）ブランドの専門性・信頼性の訴求	・ポッドキャスト、ビデオポッドキャスト、Voicyチャンネルなどオトナルで制作可能
アプリやWebサイトの操作時に鳴るサウンド	ユーザー体験の向上	・ボタンのクリック音や通知音オトナルで制作可能
店舗や施設で流れる音楽	顧客の滞在時間や購買意欲の向上	・店内で流れる音楽やラジオオトナルで制作可能

また、サウンドロゴは「音商標」として法的に保護されるケースも増えており、制作したサウンドロゴがブランド資産となる点にも注目が集まっています。

「音」が持つ高い効果

ここでは、「音」が持つ高いブランディング効果について見ていきましょう。

音と動画の伝わり方の違い

音と動画では、人に対する情報の伝わり方に明確な違いがあります。

最新の研究によると、同じメッセージを「映像＋音声」で見せた場合と「音声だけ」で聴かせた場合、脳の神経活動や生理的な反応に差が出ることが明らかになっています。

キング牧師の「I Have a Dream」の一節で知られる演説を「映像＋音声」で見せた場合と「音声だけ」で聴かせた場合の神経反応の差を調べた調査※1では、「音声だけ」の方がメッセージに集中しより伝わるという結果となりました。

ソニックブランディングとは？「音」の効果やメリットを事例とともに解説／音と動画の違い

引用元：オーストラリアのオーディオ配信会社ARNの研究「NeuroLab」の調査レポート

また、「映像」を見せた後、その原作本の「朗読」も聴かせ、物語への没入感についての評価を、質問及び生理学的な反応（心拍数や体温）から比較した調査※2においても、音声の方が高い反応が見られました。

このような結果になった理由として、音声のみの場合は、受け手がメッセージを理解する際に脳内でイメージを膨らませる必要があり、より積極的に内容に没入することが関係していると考えられます。

映像がある場合はビジュアル情報の処理が優先され、メッセージに対する受け手の能動的な解釈が起こりにくい傾向があります。一方で音声だけの場合、聴き手がメッセージに集中しやすく、脳内でイメージを構築するため、記憶や感情への訴求効果が高まるのです。

※1：ARN研究機関「NeuroLab」の調査レポート
※2：Nature Research社「Scientific Reports」

ソニックブランディングに取り組むメリット

ソニックブランディングに取り組むことで、企業や商品は様々なメリットを得ることができます。

1.デジタル環境での差別化と競争優位性の確立

まず、「デジタル環境での差別化と競争優位性の確立」が挙げられます。

音声アシスタントやスマートスピーカー、ポッドキャストなど、視覚に頼らないデジタルメディアが普及する中で、音によるブランディングは他社との差別化やターゲット層への効果的なアプローチにつながります。

さらに、ワイヤレスイヤホンの利用率は30代以下で50%を超えるなど、ユーザーは生活のあらゆるシーンで「音」に接する機会が劇的に増えており、この領域での存在感が競争優位性を生み出すといえます。

引用元：「国内Z世代音とメディアの利用実態調査」レポート

2.マルチチャネルでの統一感

次に、「マルチチャネルでの統一感の実現」が挙げられます。

下図のように、店頭やデジタルメディア、スマートスピーカーなど様々な接点で統一された「音」を活用することで、ブランドイメージの一貫性を保ち、消費者との接触をより強固なものにします。

ソニックブランディングとは？「音」の効果やメリットを展開事例とともに解説

3.ブランドパワーを高める

また、カンター社の調査では、強力なブランド資産を持つブランドは、持たないブランドに比べて、76%ブランドパワーが高く、広告の訴求力も138%高い評価を得ることがわかっています。これらの「ブランド資産」には、サウンドロゴを含む音声の資産も含まれます。*
参考：*Kantar’s BrandZ research

以上のようにソニックブランディングを推進するには、様々なメリットがあるのです。

ソニックブランディングの企業事例

ソニックブランディングを行っている企業の事例をいくつか紹介します。

サウンドロゴ事例

ブランド名：マクドナルド

同社では、「タラッタッタッター」というメロディが有名です。このサウンドロゴは、CMや店舗内BGMで頻繁に使用され、世界中の子供から大人まで幅広い世代に親しまれています。この音を聞くと、マクドナルドの商品や店舗を連想する人も多いのではないでしょうか。

参考：［サウンドロゴ探求］第1回：マクドナルドの「I’m lovin’ it」に隠れたヒミツ

サービス名：メルカリ

同社は出品時の「メルカリ」というサウンドエフェクトや、通知音などで独自の音を活用しています。アプリ上だけでなく、CMでも使用され多くの人に親しまれています。

店舗名：アパマンショップ

同社は、「アパマンショーップ」というサウンドロゴを長年使用しています。親しみやすく覚えやすいメロディで、テレビCMやラジオCMで頻繁に利用され、幅広い世代に認知されています。

ブランドテーマ曲事例

商品名：サントリーウイスキー角瓶「ウイスキーが、お好きでしょ」

「ウイスキーが、お好きでしょ」は、サントリー角瓶（主に角ハイボール）のCMを象徴する名曲です。1990年に誕生し、2007年の「角ハイボール」ブームと共にリバイバルしました。ジャズ風のムーディーな曲調が、バーで過ごす上質で心地よい時間を演出し、都会的で洗練されたブランドイメージを確立しています。旬のアーティストによるカバーが毎回話題となり、時代を超えて愛され続けるソニックブランディングの成功例です。

サービス名：タケモトピアノ「AIダンスもっともっと」篇

タケモトピアノのブランドテーマ曲は、「ピアノ売ってちょーだい！」という印象的なフレーズと、「もっともっとタケモット」のアップテンポでキャッチーなメロディが特徴です。また「赤ちゃんが泣き止むCM」としてSNS等でも話題となり、純粋想起獲得に加え、高いエンゲージメントを獲得しました。高低差のあるメロディとバックビートのリズムが、年齢や世代を超えた高い認知度と純粋想起を獲得しました。ソニックブランディングの極めて成功した事例といえます。

これらが、記憶と感情に深く響くソニックブランディングの力です。ブランドへの印象は潜在意識に深く定着し、音とともに瞬時に呼び起こされる資産となります。