※本記事は、タクト株式会社のnote「ソニック・アーキテクト(音の総合建築家) ー タクト株式会社」からの転載記事です。
さて、前回「どうしてビジュアルロゴや企業メッセージに関してはブランディングやマーケティングのガイドラインがあるのに、音のブランディング・ガイドラインはないのだろう?」という疑問を呈してみました。
米英の企業の多くでは、「音のブランディング・ガイドライン」や、「音制作のゴールデン・ルール」が定められています。
肝は「音を通じてもお客様とのすべてのタッチポイントで企業理念やメッセージを発信する。」です。
10の法則~ゴールデン・ルール!
1. すべての音声コンテンツ制作のための指針やルールやガイドラインとなるソニック・アンセム(メロディ、あるいは曲)をつくり、企業理念やメッセージを音を通じても発信する。企業理念が企業の礎となる長期的哲学であるのと同様、企業理念に変更がない限りソニック・アンセムも変わらない。
2. ソニック・アンセムやソニック・ロゴ、その他の広告等音声コンテンツは周波数解析・感情指数の分析を行い、音楽理論と音が人の行動・心理に及ぼす影響を考慮し設計する。
3. まずソニック・アンセムを制作してからソニック・ロゴをつくり、商品や国・地域や媒体、CMに関わらず常に同一のメロディを使う。あるいはそれをモチーフとして季節、地域、テーマごとにアレンジを行い、一貫性を持たせる。
4. ソニック・アンセム制作後の個々のサウンド(ソニック・ロゴやCMの音声コンテンツ等)はタグライン(注)もとに創造する。
5. ソニック・ロゴには製品名ではなく社名を入れる。
6. 消費者との音を通じたすべてのタッチポイントを把握する。
7.メッセージを伝えたい消費者像を明確にする。
8.消費者とのすべての音を通じたタッチポイントでブランドイメージ、発信するイメージを統一する。
9.一貫したサウンドで顧客からの信頼と共感・親密さを醸成=サウンドによって消費者の感情をうまく引き出し、顧客との感情的つながりを生み出す。
10. Simple is best ! 消費者が瞬時に認識できる言葉に頼らない「音色とサウンド」の採用。
(注)顧客に伝えたいメッセージや価値観を言葉化すること。例えば、製品やサービスごとにタグラインを設定する場合もあれば、ソニック・ロゴ制作にあたり設定する場合もある。正しいメッセージを発するサウンドを制作するためには、サウンドと合致した言語表現を事前に認識しておく必要がある。顧客に伝えたい表現・メッセージとサウンドが横断的に統一され、マッチされている必要があるからである。
ゴールデン・ルールを遵守することで創出される付加価値
企業理念やメッセージを言葉に加え、科学的に構築された『音=周波数』を通じても正しく発信することで、お客様の感情に訴え、永く記憶に残し、共感や永続的な感情の繋がりを創ることができます。これにより、「お客様の購買行動が喚起される」ことになります。
機会と可能性:購買決定に導く
- 企業や商品に対し共感・感情の繋がりを生む
- ロイヤリティ醸成
- 視聴者の注意喚起、心に残る場面を印象付け
- 音声コンテンツによる収益増
- 事業を通じて社会課題やSDGs課題を解決できるチャンス
リスク低減、課題解決:お客様のネガティブ感情を回避
- お客様の精神・身体へ悪影響を及ぼす音を発信しない
- 「音のコンプライアンス」を考慮する
- ネガティブな音が発するバイオレンスやメンタルへの悪影響を軽減・回避し、「企業の社会的責任」を果たす
- 企業へのネガティブイメージを回避
さて、今回は教科書のようでしたね。抽象的・概念的に音声コンテンツ制作のゴールデン・ルールとそこから生まれる価値をご説明しました。
でもいったい「アンセム」って何なんでしょう?
次回、もう少しお教室的なご説明になるかもしれませんが、お付き合いくださいね。念のため、アンセムは国歌でも社歌でもありません・・・!
--
本記事はタクト株式会社のnoteからの転載記事です。
「ソニック・アーキテクト(音の総合建築家) ー タクト株式会社」から全ての記事を読むことができます。
--
タクト株式会社 代表取締役社長であり、音楽芸術博士であるミテイラー千穂氏の著書『サウンドパワー わたしたちは、いつのまにか「音」に誘導されている!?』では、「音」と私たちの生活の様々な繋がりや、ビジネスをアップデートするための「サウンド」の重要性などが語られています。
マクドナルドのソニック・ブランディング「i'm lovin' it」から低周波音による健康被害、音による味覚の変化まで、日常のあらゆる場面で音が私たちに与える影響などを具体例を交えて紹介されています。