ポッドキャストとは、様々なオーディオやエピソードや番組をインターネットを通して視聴することができるサービスを指します。英会話やニュース、ドラマなど多岐に渡るジャンルのコンテンツが配信されています。
アメリカでは2020年から2021年までの1年間で新たにポッドキャストについて知った人が1020万人と日に日に認知度が増しています。(edison researchとTRITON DIGITALの調査より)
また、近年AppleやGoogle、Spotifyなどもポッドキャストに力を入れていて、アメリカをはじめとし、海外や日本国内で熱が高まっています。
今回は、そんなポッドキャストについて詳しくご紹介していきます。
目次
ポッドキャストの市場規模
アメリカでの12歳以上の人々のポッドキャスト認知度は84%と高く、これまで徐々にこの数値は上がってきていました。(edison researchとTRITON DIGITALの調査より)
認知度の上昇からもわかるように成長しているポッドキャストの市場規模を利用者数や広告収入から見ていきます。
利用者数
Edison Research社とTriton Digital社が「The Infinite Dial 2024」の中で発表したデータでは、アメリカの12歳以上の67%がこれまでにポッドキャストを聞いたことがあると答えています。
つまり、推定1億9200万人もの人がポッドキャストを聞いた経験があるということです。
更に47%の人(推定1億3500万人)が先月ポッドキャストを聞いたと答えています。
オトナルと朝日新聞社で共同実施したポッドキャストの利用実態調査「PODCAST REPORT IN JAPAN ポッドキャスト国内利用実態調査2024」を発表しました。
その中で発表したデータでは、ポッドキャストを1ヶ月に1回以上使用するユーザーは15.7%、さらに15-19歳の3人に1人はポッドキャストユーザーということが明らかになりました。
ポッドキャストを聴く頻度に関して、週1回以上の頻度でポッドキャストを聴くユーザーが68%おり、20.9%のユーザーがほぼ毎日使用しています。
広告収入
2016年~2023年の音声広告による広告収入の推移を米IAB社が発表しています。
※広告収入(Advertising Revenue)とは、媒体が広告を掲載して得る収入のこと。
2016年の音声広告による広告収入は11億ドルですが、2017年には66%増の18億ドルに増加しています。2018年はさらに23%増加し年間約22億ドルに、2019年は21%増で27億ドルに、2020年は13%増で30億ドルに、2021年では58%増で48億ドルに成長しています。そして、2022年では21%増の59億ドル、2023年には18%増の70億ドルにまで市場規模が拡大しています。
引き続き音声広告への広告出稿は増えていくと考えられます。
このデータはポッドキャストに限ったものではなく音声広告全てを含みますが、音声市場が全体的に伸びていることがわかります。
また米IAB社の「IAB FY 2020 Podcast Ad Revenue Study」によるポッドキャスト広告収入に限ったデータでは、2020年の時点で約8億4200万ドル(約800億円)で、2023年には20億ドル(約2000億円)を越すと予想されています。
ブランド認知向上につながるのか?
BBCが音声と脳活動についての調査を依頼をしたところ、いくつかの興味深い結果が出ました。
まず、94%のポッドキャストリスナーは何かをしながらの視聴をしていました。このながら視聴という聞き方はブランドへのエンゲージメントを高めるそうです。
つまり、ポッドキャストはブランド認知を高めることが目的の広告と相性が良いと言えます。
更に、ポッドキャスト内でブランドについて触れられた際は、他のコンテンツに比べてエンゲージメントが16%高くなり、メモリエンコーディングが12%高くなることがわかりました。
また、ユーザーがアクティブであるとエンゲージメントや長期記憶が更に上がることもわかりました。
そして別の調査でもブランド認知向上に関する結果が出ています。
Midrollが委託した調査では、ポッドキャスト広告は他のデジタルディスプレイ広告と比べてブランドの認知が4.4倍も良くなったそうです。
このような調査からポッドキャスト内での広告は購買意欲を高めるだけでなく、ブランドの認知にも強いことがわかりました。
また、以下でMidrollによるポッドキャスト広告に関する2つの事例をご紹介します。
パッケージングされている食品や雑貨などの消耗品
ポッドキャストで配信された日用消耗品の広告配信の結果、購入意思が9%上がり、 製品について思い出せる割合が7%増え、更に調整をすると 10%上がりました。
また、広告を聞いた65%の人が製品とブランドを思い出すことができました。
ソフトドリンクブランド
ソフトドリンクブランドの広告を聞いていないグループにくらべ、聞いたグループは親和性が140%上がり、広告の中で強調された新しいフレーバーに対する購入意思が118%向上し、更に156%がブランドに関するキャッチフレーズとブランドを関連づけることができました。
ポッドキャスト広告はどのように配信されるのか
ポッドキャスト広告は、プレロール広告、ミッドロール広告、ポストロール広告の3種類に分類されます。
プレロール広告とはエピソードの開始時に広告が配信されるもので、ミッドロール広告とはエピソードの途中に配信されるもの、そしてポストロールはエピソードの後に配信されるものです。
それぞれのタイミングで予算分だけ音声広告が差し込まれます。これは配信者側で選択することができます。
また、配信日時やデバイスの種類、位置情報などターゲティングをすることもでき、効果的に広告を届けたい相手に届けることができます。
また、日本においては2021年に大手ラジオ局や新聞社の展開するポッドキャスト番組へ広告を配信することができる『ポッドキャストオーディオアド』というポッドキャストアドネットワークに広告出稿ができるようになりました。
ポッドキャスト広告の効果検証
ポッドキャストのアトリビューションプラットフォームを運営するPodsightsは、広告主やブランドがポッドキャストを活用するためのツール「Podsights」を展開しています。
Podsightsを導入することによりポッドキャスト広告や、企業が運営するポッドキャスト番組でリスナーのサイト訪問やキャンペーン効果を計測することができます。
リード獲得に対する影響度や、ポッドキャストリスナーのサイト訪問率、広告出稿を行った複数のポッドキャスト番組の比較など、ポッドキャストにおける広告効果の可視化を行うことが可能になります。
Podsightsの計測では、ポッドキャスト広告で音声広告配信がされたユーザーがサイトに訪問したか、または、アプリのインストールをしたかという計測を行うことができます。
詳しい資料はポッドキャスト広告効果計測ツール『Podsights』からご覧いただけます。
ポッドキャストへのコンテンツ配信が拡大
ポッドキャストで配信されているコンテンツは様々なジャンルがあり、国内・国外共に日々拡大しています。
例えば、Apple Podcastsだけでも750,000のプログラム、2400万以上のエピソードが存在し、155ヵ国で配信されています。
配信側も個人や企業、非営利団体などバライティ豊かです。
今回はそんなたくさんの配信者の中でもどういった企業・団体がポッドキャスト配信をしているのかを一部をご紹介します。
海外企業のポッドキャスト
アメリカでは日本国内と比べると企業の参入率が高い印象を受けます。
例えば、以下のような企業がポッドキャスト配信を過去、もしくは現在も行っています。
The New York Times
ニューヨークに本社を構える新聞社のThe New York Timesは日々のニュースを取り上げる番組『The Daily』、音楽への批評番組『Popcast』など様々な番組を運営しています。番組数も多く、更新頻度が高いです。
The McKinsey
グローバルにコンサルティングを行う会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーが配信する『The McKinsey Podcast』
ビジネスや経営のエキスパート達が戦略、テクノロジー、リーダーシップ、マーケティング、運用、組織、社会におけるビジネスの役割などビジネスのあらゆる要素に包括的に触れています。
更新の頻度は不定期であまり多くはないですが、2016年から続いていて、世界の様々な市場について知ることができます。
COACH
世界的なファッションブランドのCOACHが社会貢献活動の一貫として配信していた『Dream It Real』という番組。
シーズン1として2019年の4月から5月にかけて6つのエピソードが公開されています。セレーナ・ゴメスやマイケル・ジョーダンなど豪華なゲストが夢について語ります。
Tinder
マッチングアプリを運営するTinderが配信していた『DTR - The Official Tinder Podcast』はシーズン2まで配信されていて、相手になんて声をかけたらいいのか、プロフィール写真、高嶺の花とデートするには、など恋愛やTinderに関する話を聞くことができます。
GE(ゼネラル・エレクトリック)
GE(ゼネラル・エレクトリック)とPanoplyが配信していた『LifeAfter/The Message』はラジオドラマを2シーズンに渡って配信した番組です。The Messageは2016年にカンヌライオンズを受賞し、LifeAfterはその続編となっています。エイリアンや亡くなった人との電話など未来的でSFな内容です。
SephoraとGirlboss
世界的に有名なコスメブランドSephoraと女性の起業を応援するファンドGirlbossのコラボにより生まれた『#LIPSTORIES』はシーズン2まで既に配信されています。
ゲストを呼び、子供時代から今日に至るまでのお気に入りの思い出を語ります。
eBay
世界最大級のグローバルEC企業のeBayが2016年から2017年にかけて配信していた番組、『Open For Business』では、ゼロからビジネスを始めることについて話されています。
現在は配信されていないですが、過去の16エピソードを聞くことができます。
Dior
フランスから世界中に展開する有名なファッションブランドのDiorが2020年3月から配信開始し、現在も更新されている『DIOR TALKS – Feminist 』
番組内ではアーティストやキュレーター、作家に焦点を当て、フェミニストアートについて語られています。
2021年4月より新たに配信を開始したポッドキャスト番組の新シリーズ『A.B.C.Dior』
1947年の初コレクションから今までメゾンに伝えられてきたファンタジーやインスピレーションの数々が紹介されています。
クリスチャン・ディオールのインスピレーションを探求し、内面に潜むカリスマ的な個性の秘密が語られています。
Chanel
ココ・シャネルが創業したフランスのファッションブランドChanelが配信するポッドキャスト番組『3.55』
2017年から2022年2月現在まで配信され続けており、語り手の言語もフランス語や中国語、韓国語など様々です。
クリエイションやインスピレーションの源をテーマとした番組内容となっています。
BMW
ドイツの自動車メーカーBMWが2020年3月より配信を開始し、現在#044まで公開されている番組『Changing Lanes』
週1ペースで、革新的なテクノロジー、ライフスタイル、デザイン、車などをトピックに語られています。
他にもABCやBBC、NBCなどの公共放送局や、SlackやMicrosoft、LUSH、ジョンソン・エンド・ジョンソンのような企業がオウンドメディアとしてポッドキャスト運用をしています。
それぞれ企業の特徴を生かしたジャンルでポッドキャストの配信をしていることが多いです。
例えば先ほどあげたSlackであれば仕事や働く人・チームについてを主に配信していたり、ジョンソン・エンド・ジョンソンでは新しいヘルスケアソリューションについての配信をしています。
国内企業でもポッドキャストが増加
日本国内では、オウンドメディアとしてのポッドキャストよりも新聞社やラジオ局、テレビ局などが配信するポッドキャストが多い印象です。
Apple Podcastsのトップ番組をみると上位15位の中には、イギリスの公共放送局であるBBCによる英語でのグローバルニュースや、NHKによるラジオニュースや英語でのニュース、ラジオ局のニッポン放送が配信する飯田浩司のOK!Cozy up!やオールナイトニッポンシリーズがランクインしています。
また非営利団体のTEDによるTED Talks Dailyも人気のポッドキャストのうちの一つです。
ポッドキャストのコンテンツがアメリカで進んでいるということもあってか、英語でのニュースや英語を学ぶ系統のコンテンツが上位に多く入っているようです。
そして、以下のように日本でも国外と同じように企業が配信するポッドキャストもあります。
RECRUIT
【リクルート公式Podcast番組】リクルートで働くその道のプロが「仕事探し」や「学び方」「美容」や「食」といった様々なテーマの最新トレンドについて語る番組です。気になる最新トレンドについて、わかりやすく紐解いていきます。
2020年に入り、RECRUITが運営し始めた『トレンドランナー』では、リクルートで働くその道のプロが「仕事探し」や「学び方」「美容」や「食」といった様々なテーマの最新トレンドについて語られています。まだ始まったばかりなのでこれからが楽しみな番組のうちの一つです。
Peatix
イベントコミュニティを支えるPeatixがお送りするPeapod。様々なクリエイターを毎回ゲストにお迎えしトークを繰り広げていきます。
「出会いと体験を広げる」をミッションに、イベント・コミュニティをサポートするPeatixが『Peapod』の配信を始めました。幅広いフィールドで活動されるゲストに、ご自身の思いや、今まで語られなかったエピソードなどを交えながら、これまでの活動やチャレンジについてお話していくそうです。
北欧、暮らしの道具店
「北欧、暮らしの道具店」の店長佐藤と、よしべことスタッフの青木がお届けしている、隔週日曜配信のインターネットラジオです。コンセプトは “女湯トーク” 。「人生に目標って必要?」「40代になった今、夢はある?」など熱いものから、「とにかくカゴが好き」「買ってよかったものランキング」など、ゆるいものまでテーマはさまざま。おしゃべりしながらずっと浸かっていたくなるような女湯トークに、ぜひ一度入ってみませんか?
日用雑貨、インテリア雑貨を扱う北欧、暮らしの道具店が配信する『日曜ラジオ「チャポンと行こう!」』では、2018年から現在まで続いているポッドキャストです。暮らしや日々の生活に関わるテーマについてお話している様子が配信されています。
HADO
ARを駆使した新時代のテクノスポーツHADOにありに親しました、手軽に情報を結返るポッドキャスト!
ARを駆使した新時代のテクノスポーツHADOを提供するHADOによる『Weekly HADO Podcast』では、HADOを気軽に親しんで、手軽に情報を振り返ります。
2020年1月に開始したばかりで週1のペースで配信されています。
ECC
多彩な英会話表現ができるIdiomの世界を勉強します!
英会話スクールのECCが配信するのは「知っている単語でこんなに話せる!」がコンセプトの『ECC 英会話 Podcasting』
ネイティブの日常会話に使われる表現をホストのお二人が教えてくれます。
サイボウズ
「サイボウズ式第2編集部ラジオ」とは、サイボウズ式の読者が集まって編集部を作りサイボウズ式をもっと面白くするコミュニティ「サイボウズ式第2編集部」がお届けします。【チームワーク】とか【これからの働き方】をテーマに、おしゃべりをしたり、会いたい人に会いに行く番組です。
サイボウズ式第2編集部メンバーが隔週木曜日に配信している『サイボウズ式第2編集部ラジオ』では、「チームワーク」や「これからの働き方」をテーマサイボウズ式第2編集部のメンバーを中心に配信しています。
エスプリライン
『スピードラーニング ポッドキャスト』は、ネイティブスピーカーが話す英会話を聞くことができる番組『Speak UP Radio』としてリニューアル!!エスプリラインスタッフのMJ(エム・ジェイ)とアダムの2人が、日々の生活の中で気付いた様々なトピックを題材にフリートークを行うラジオ番組です。※更新は月に2回の更新を予定しています。
英会話教材スピードラーニングの制作・販売を行っているエスプリラインが配信する『スピードラーニング ポッドキャスト[Speak UP Radio]』では、エスプリラインスタッフのMJとアダムの2人が日々の生活の中で気づいた様々なトピックを題材にフリートークを繰り広げます。
メルカリ
mercan.fmは、メルカリが運営するコンテンツプラットフォーム、mercan(メルカン)のPodcastです。メルカリのメンバーが仕事や会社について、日々の出来事についてゆるく語ります。
フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリが2016年6月から現在に至るまで配信し続けている番組『mercan.fm』
メルカリのメンバーをゲストに迎えて、仕事や会社、日々の出来事についてゆるく語っています。
アドビ株式会社
Adobe Experience Cloud ポッドキャストは、アドビの持つ卓越した顧客体験創出のテクノロジーと専門知識を活かし、最新のデジタルマーケティングやCXM(顧客体験管理)の理解を深めることのできる体感学習型ポッドキャストです。 変化を続ける顧客のニーズを予測し、企業がデジタル変革を推進することで優れた顧客体験を提供するためのヒントをお届けします。
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ここは、ビール好きが集う「空想ビアパブ」。 マスターと「一杯のビール」を心ゆくまで堪能したり。 ビールを愛する人たちの「偏愛トーク」に耳を傾けたり。 ちょっと役立つ「豆知識」をシェアしたり。 クラフトビールの話をつまみに、 今日もよなよな楽しみましょう。 隔週木曜、21時更新。 「よなよなエールの空想ビアパブ」は、 いつでもあなたのご来店をお待ちしております。 ようこそ、クラフトビールの世界へ。
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SEIKO
心が揺さぶられる時間、遠くにいる大切な人に想いを馳せる時間、誰かを応援する時間、自分を労わる時間・・。セイコーは、そんな、自身にとってかけがえのない、誰の中にもある人間的な時間を「やさしい時間」と解釈し、「あなたにとって、やさしい時間とは」という問いかけから始まるインタビューを実施しました。
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(2022年2月時点)
※わかりやすく紹介するために各ポッドキャストのアイコン画像をお借りしています。
ポッドキャストはなぜ人気なのか?
このように国内外共にポッドキャストは盛り上がりを見せていて、市場規模やコンテンツも拡大していることがわかりました。
日本で人気が高まっている理由として、ポッドキャストは無料である上に、好きな時に聞くことができ、現代の忙しい社会人の情報収集や英語学習との親和性が高いことが挙げられます。
スマホで簡単にポッドキャストが聴けるようになったことによって、元々ラジオを聞いていた層だけでなく、今までラジオを頻繁に聞いていなかった層にも広がったのではないでしょうか。
そしてこのようなポッドキャストリスナー層の広がりと共に、ポッドキャスト内の広告でリーチできる層も広がっていくことが予測されます。
ポッドキャスト内での広告は購買意欲を高めるだけでなく、ブランド認知を向上させるための効果的な手段になり得るでしょう。
オトナルでは日本でも注目されるデジタル音声広告の市場について、『音声マーケティング最前線2024(成長する音声コンテンツとデジタル音声広告市場)』というレポートに市場とその動向についてまとめています。
またポッドキャストでの音声広告の出稿にご興味がある方は、『オトナルポッドキャストアドネットワーク』から資料がダウンロードできます。
その他、音声広告もデジタル音声広告媒体資料一覧にてポッドキャストでの音声広告の出稿が可能な媒体の資料をご覧いただけます。