いずれはAIが番組をジャック?真空ジェシカが作り出す“普段どおり”のポッドキャスト


人気ポッドキャスターは、日々どんなことを考えて番組作りに臨んでいるのか。ポッドキャスト番組の名手にインタビューする本企画。第1回は、『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』のパーソナリティを務めるお笑いコンビ「真空ジェシカ」のガクさんと川北茂澄さんに話を伺いました。

いずれはAIが番組をジャック?真空ジェシカが作り出す“普段どおり”のポッドキャスト

「普段話している内容からできているコーナーは長続きする」と話す川北さん。過去5回開催している番組イベントや企業とのタイアップなどにも積極的に取り組み、リスナーが楽しめる企画に事欠きません。日本一の若手漫才師を決める「M-1グランプリ」で3年連続で決勝進出している実力派コンビが、ポッドキャストの魅力を語り尽くします。

真空ジェシカが語るポッドキャストの魅力とは?

本記事では、TBSラジオ『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』のパーソナリティを務めるお笑いコンビ「真空ジェシカ」のガクさんと川北茂澄さんに、ポッドキャストの魅力について伺っていきます。

番組紹介
番組名:真空ジェシカのラジオ父ちゃん(TBSラジオ)
URL:https://www.tbsradio.jp/titi/

お笑いコンビ「真空ジェシカ」のふたりがパーソナリティを務める人気番組。番組コーナーの「ともはるさん」、「ワーキャーのコーナー」など、リスナー投稿型企画も盛んに行われている。最新エピソードは毎週土曜日19時に更新。

YouTuberに憧れていた(?)

──真空ジェシカのおふたりは、ラジオを始める前にYouTubeで『真空ジェシカのギガラジオ(以下、ギガラジオ)』を始めていますね。

川北茂澄:2017年くらいに、後輩の芸人・肉体戦士ギガと帰り道に話していたことがきっかけです。ちょうど僕がYouTuberに憧れていたので、ちょうどいいタイミングでした。

ガク:YouTuberに憧れてたの?

──なるほど。芸人としても、YouTuberとしても成功を収めたかったと。

川北:もう成功を収めつつありますね。

ガク:収めつつじゃないだろ、ほぼやってないだろ、YouTubeは。

川北:でも1回(コンテンツを)あげれば、それがまた観られて、ちょっとずつ収益につながるから。

ガク:すでにあげたものだけでYouTuberを名乗ろうとしているってこと?

川北:なので、こういう取材の機会をいただけるのはありがたいです。取り上げられることで、過去にあげていたものも再生数が上がりますから。

ガク:そんなせこいやり方で?そもそもこれ、YouTuberとしての取材じゃないから。

 

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──『ギガラジオ』が、現在の『真空ジェシカのラジオ父ちゃん(以下、ラジ父)』にもつながっているんですね。

川北:『ギガラジオ』が評価されて、こうなってますね。

ガク:関係ないです。『ギガラジオ』は自分たちで勝手にYouTubeにあげていて。『ラジ父』は、2019年に開催された「マイナビLaughter Night」の第5回チャンピオンライブで優勝して、特典として2時間番組をやらせてもらったことがきっかけでした。『ギガラジオ』からは特に得るものもなく、全く別のものです。

──なるほど。ラジオが始まっておふたりに変化はありましたか?

川北:ありましたね。芸人の、まだ全然売れてないような卑しい後輩たちと飯に行く機会があるんですけど。そういう後輩たちが、「これラジオで喋ってくださいよ」みたいな感じで近寄ってきます。中にはエピソードトークを披露するやつもいて。非常に不愉快でした。

ガク:そういうの喋んないで。怒られるから。

川北:たまにガクが話すエピソードトークも、「あいつらの思うツボだぞ」っていう話がありますよ。まずは自分たちが売れなくちゃいけないのに。

ガク:僕はそれで良いと思ってるから。(エピソードを)くれてありがとうって感じ。

内容は決めうちせず、自由に話している

──2020年に地上波ラジオのレギュラー番組として始まった『ラジ父』は、今もポッドキャスト番組として続いています。

ガク:もともと番組はコロナ禍でスタートしたんですよ。ネタを探すにしても外出は制限されていたし。それで仲の良い、売れてない芸人たちの話をしたら「意味分かんない」って言われるし。逆にポッドキャストになってからは、話せることの幅も広がったような気がしますね。

川北:もちろん。

ガク:使っていい言葉も、下ネタの範囲も広がるみたいな。

──番組で話す内容は、事前におふたりで打ち合わせされるんですか?

川北:いや、あらかじめ決めると逆に上手く話せないんで。

ガク:番組当初は、「これ話そうか」と考えることもあったのですが、今はほとんど考えていません。

川北:決めうちしない方が、僕らはやりやすいですね。

 

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──ポッドキャストはアーカイブされるのも魅力のひとつです。おすすめの回はありますか?

ガク:毎年、「嘘松大捜査」という、嘘つき芸人を摘発する企画をやっています。X(旧・Twitter)でエピソードトークを盛ったり、嘘を投稿して「いいね」をもらおうとする芸人がいたりするので、事実かどうか検証しています。

川北:そうそう。

ガク:「芸人には悪いやつがいる」ということを知ってほしいので、ぜひ聴いてほしいですね。「芸人の言うことを全てを信じちゃいけないよ」と警鐘を鳴らす役割もあると思っています。

川北:そうだね。ここまでは本当で、ここからは嘘でとか、人によっても傾向がありますよ。例えば「ナイチンゲールダンス」のヤスという芸人がいるんですが、第三者の発言があるポストが時々出てきます。その時点で、もう嘘確定です。

ガク:嘘のつき方は、人それぞれですね。

──過去には、「M-1グランプリ」直前に収録した回もありました。普段と違って力が入るようなこともあるのでしょうか?

川北:いや、特にないですね。

ガク:あった方が良いのかもしれないですけど……。ない。

川北:イベント前は特に気持ちは変わらないのですが、コロナがある程度落ち着いて、アクリル製の衝立がなくなったときに心境の変化がありました。衝立がなくなった瞬間に、裸で喋っているみたいな恥ずかしさがあって、ちょっとモジモジしていた気がします。

──人気企画になるものは、どのような特徴があるのでしょうか?

川北:普段、僕らが話している内容からできているコーナーの方が長続きしますね。例えば、以前学園祭でピン芸人のゴー☆ジャスさんと一緒になったんですが、すごく優しかったんですね。そこから「ゴー☆ジャスさんの優しいエピソードを送ってくれ」っていうことで、「優しいゴー☆ジャスさん」というコーナーができました。

ガク:無理やりひねり出してつくったものは、地に足がついていない感じがして、やっぱりすぐ終わってしまいますね。基本的には、企画は作家の人たちとかディレクターとかが考えてくれますね。僕らは「これ募集してみようか」って、たまに意識するくらいです。

 

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番組イベントで生まれた、大爆笑と大感動

──番組では企業とのタイアップも定期的にやられています。タイアップならではの面白さはありますか?

川北:印象に残っているのは、ライブ配信サービスとのタイアップですね。配信者の方と直接絡む機会があって、何人か呼んで喋ったんですけど、ガクのファンだというわけの分からない人がいて。

ガク:たまたまね、いただけ。

川北:普段は会うことのないような方と話をする機会があるのも、楽しいですね。

ガク:新鮮でした。

── 一方、おふたりの得意な大喜利を行うタイアップもあります。こちらは、とてもシンプルですよね。

川北:難しいのは無理なんで。

ガク:マイナスなこと言うな。マーケティングの取材なんだから、マイナスなことはやめろ。マーケティングなんだから、掛け算で良くなったことを言わないと。ただまあ、慣れ親しんだ大喜利だからこそ盛り上がるのかもしれませんね。

川北:メールも送りやすい。

ガク:僕らに合った企画だから。

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──番組イベントはどんな位置付けで行っているのでしょうか?

川北:イベントのときに、普段の配信で名前だけ出していた先輩芸人を呼んだりとかしてるんですよね。

ガク:そうっすね。耳で聴いていた名前を出していた芸人が実際に見れるみたいな。

川北:実在したんだ!と。「新宿カウボーイ」のかねきよさんという芸人のギャグを毎回言ってるんですけど、イベントのラスト5秒だけ、かねきよさんに出てもらったときがあったんですけど。大爆笑でした。みんなも大感動して。

ガク:北海道出身のコンビ「秘蔵」のジャンゴの話もしているんですけど。北海道のイベントでは実際に来てもらって、めっちゃ盛り上げてもらいました。

川北:僕らの同期の「コロネケン」もすごい盛り上がった。

ガク:「コロネケン」は、僕らが企画のはめ方をミスってあんまり盛り上がらなかった。

川北:嘘だろ?

ガク:大食いと大喜利を掛け合わせた企画をやって。束田が大食いしている間に相方の渋谷に大喜利をやらせようと思ったら、渋谷は大喜利が全然得意じゃなくてあんまり盛り上がらなかったという。本当は束田が大喜利得意だっただったのに。

川北:そっか……。

ガク:気まずくさすな。間違えちゃうこともある。「コロネケン」自体は、面白いからね。

いつかAIが、真空ジェシカの番組を担当するかも

──これからポッドキャストでやってみたいことはありますか?

川北:そうですね。まあ卑しい後輩は無視しつつ、調子に乗ってるオズワルドとか、芸人が失敗したときにゲストで呼んで、話を聴いてやるみたいな番組をやりたいですね。

ガク:嫌なやつ。

川北:そういうラジオではあり続けたいですね。「困っているみたいだね、どうしてほしい?」っていう。そんな優しいラジオでありたい。

ガク:まあね。表で幅をきかせている人の良くないところはちゃんと指摘したい。僕はイベントもそうですけど、色々なところに行きたいです。番組を使って、いっぱい旅行できると良いですね。

──素晴らしいですね。ポッドキャストに限らず、来年以降の目標などがあれば教えてください。

川北:……(沈黙)

ガク:……(沈黙)

川北:なんかあったと思うんですよね。

ガク:……(沈黙)

川北:さっきAIの話も出ましたけど、本当に将来的には、僕らなしで番組を成立させたいですね。1回で良いから、そういう回もつくってみたい。全部、僕らの音声データをとって、学習させて、AI同士で喋らせて。それをAIに聴かせて、聴いたAIがコーナーに投稿するという。

ガク:リスナーもAI?

川北:リスナーもAIで。で、AIが送ったメールを作家のエレかさ(エレファントかさ増し)に選んでもらって。

ガク:なんでエレかさが選ぶ?エレかさもAIにしてやれ!

川北:そこは最後、血の通っている人間が。エレかさしか、血が通っていないかもしれない。逆に。

──夢が広がりますね。ありがとうございました。

川北:エレかさが案件をやっても良いと思いますし。

ガク:ん?

川北:エレかさと、エレファントカシマシの対談も。

ガク:それできたら凄いけど、『ラジ父』でやることじゃない。

──そういった展開も期待しています!

川北:誰かがいつかはやると思うんで。先んじて僕らがやりたいですね。

ガク:そうかもね。

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取材を振り返って

冒頭からフランクな雰囲気で話していただいた真空ジェシカのおふたり。まるでポッドキャスト番組を聴いているかのようなテンポの良い掛け合いで、終始笑ってしまう取材でした。

9月には第6弾となる番組イベントが東京で開催されます。会場チケットは発売中ですので、気になった方は足を運んでみてください。

(撮影/結城 拓人)

真空ジェシカのラジオ父ちゃん

番組はApplePodcastやSpotifyなどポッドキャストのプラットフォームで配信中!

イベント概要

『真空ジェシカのイベン父ちゃん・東MAXXX』
https://www.tbsradio.jp/event/85457/

日時:2024年9月28日(土) 開場17:15/開演18:00
場所:赤坂・草月ホール
出演者:真空ジェシカ(ガク・川北茂澄)、トンツカタン森本、ママタルト
ゲスト:囲碁将棋、虹の黄昏


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