今月15日に開催されたAdobe MAX Japan 2023で、Adobe社はAI技術を活用した新しいオーディオ編集ツール「Project Sound Lift」を発表しました。映像制作等において、風の干渉やマイクの位置の問題、人々の雑音などによって生じるオーディオの品質低下のような問題をこのツールで解決できるとのことです。
Project Sound Liftの特徴
Project Sound Liftは、ワンクリックでオーディオを人の声、人の声でない音、その他のバックグラウンドノイズに分離し、それぞれのトラックを個別に操作できるようにする編集ツールです。これにより、ユーザーは声とその他の音を別々に強化、変換、制御することが可能になります。また既にPremiere ProなどのAdobeアプリケーションで利用可能な「Enhance Speech」が統合されており、音声コンテンツの制作方法をさらに改良していく方針とのことです。
具体的な活用法
従来のオーディオAIモデルだと、編集のためにはクリアな音であることが必要でしたが、Project Sound Liftでは、騒音、残響、複数の話者など、日常生活のシナリオに存在するさまざまな状況でも、音を個別のトラックに分割し、コンテンツの品質向上を図ることが可能だといいます。
実際に使用例として、スピーチ内の声をBGMや拍手の音から分離し、より聴き取り易く調整する例などが挙げられています。また単なる音声の品質向上だけでなく、声をロボットの声に差し替えるような創造的な機能も搭載されているようです。
AI活用で、より高品質かつ簡単になる音声処理
AdobeのProject Sound Liftは、AIの進歩を利用して音声処理を大幅に簡略化し、クリエイターが高品質なコンテンツをより簡単に制作できる機会を提供しています。AIは日々凄まじい勢いで進化していますが、このようなAI技術を活用した音声関連技術は今後も進化が続いていくと予想され、活用への期待が高まります。
Adobe社とは
Adobe社は、ソフトウェアとクリエイティブサービスを提供するグローバル企業です。PhotoshopやIllustratorなどの有名なデザインソフトウェアを開発したことで知られており、映像編集、デジタルマーケティング、ドキュメント管理など多岐にわたる分野で製品を提供しています。Adobe Creative Cloudなどのサブスクリプションベースのサービスを通じて、クリエイターとビジネスの両方に革新的なツールを提供し続けています。音声配信ツールでもAuditionは多くのプロ編集者に使用されています。
参照元:Adobe previews new AI-powered audio tool to revolutionize voice processing and video creation
音、拍手、ノイズなんかを個別のトラックに分割できる...。科学の力ってすげー!