2025年2月27日、電通が「2024年日本の広告費」に関する調査レポートを発表しました。日本の総広告費は7兆6,730億円(前年比104.9%)に達し、3年連続で過去最高を更新しました。
本記事では、広告市場の主要な最新トレンドと今後の展望について、電通メディアイノベーションラボの森永陸一郎氏の解説をもとに紹介します。

引用元:「2024年日本の広告費」解説──3年連続で過去最高を更新。マスコミ四媒体広告費が3年ぶりのプラス成長
2024年日本の広告費、企業の収益好調を背景に広告需要が拡大

引用元:「2024年日本の広告費」解説──3年連続で過去最高を更新。マスコミ四媒体広告費が3年ぶりのプラス成長
2024年(1~12月)における日本の総広告費は7兆6,730億円に達し、前年比104.9%という堅調な成長を記録しました。広告市場の拡大の背景には、企業の収益が好調であったことが大きく影響しています。特に、アフターコロナによる消費意欲の回復や、インバウンド需要の増加などが広告投資を後押ししました。
また、2019年以降、日本の広告費には「物販系ECプラットフォーム広告費」および「イベント領域」が新たに含まれるようになりました。これにより、EC市場の成長やリアルイベントにおける広告投資も反映されています。
広告費の3カテゴリーすべてが成長、マスコミ四媒体が回復

引用元:「2024年日本の広告費」解説──3年連続で過去最高を更新。マスコミ四媒体広告費が3年ぶりのプラス成長
日本の広告費は、以下の3つのカテゴリーに分類されます。
- マスコミ四媒体広告費(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)
- インターネット広告費
- プロモーションメディア広告費(屋外広告・交通広告・イベントなど)
2024年は、インターネット広告費の成長が続く中、マスコミ四媒体広告費とプロモーションメディア広告費も増加し、すべてのカテゴリーでプラス成長を記録しました。特に、近年減少傾向にあったマスコミ四媒体広告費がプラス成長に転じたことが注目されています。
総広告費に占める割合は、マスコミ四媒体が30.4%、インターネットが47.6%、プロモーションメディアが22.0%となり、インターネット広告が引き続き最大のシェアを占める形となりました。
マスコミ四媒体が回復も、成長を牽引するのはインターネット広告

引用元:「2024年日本の広告費」解説──3年連続で過去最高を更新。マスコミ四媒体広告費が3年ぶりのプラス成長
2024年のマスコミ四媒体広告費は2兆3,363億円(前年比100.9%)となり、3年ぶりにプラス成長を記録しました。
前年比101.5%となったテレビ広告は、スポーツイベントや特番の影響で視聴者数が増加し、企業の広告出稿が回復しました。新聞・雑誌広告もデジタルとの連携によってブランド広告の価値が再評価され、需要を維持しています。
特に、
- SNSの縦型動画広告(TikTok、Instagram Reels、YouTube Shorts)
- コネクテッドTV広告(Netflix、YouTube TVなどのストリーミング広告)
などの影響で動画広告の需要が急増し、市場を牽引しました。
また、プロモーションメディア広告費は1兆6,850億円(前年比101.0%)で、コロナ禍以前の水準(2019年:2兆2,239億円)には届かないものの、堅調な回復を続けています。
前年比121.4%成長を見せるラジオデジタル広告

引用元:「2024年日本の広告費」解説──3年連続で過去最高を更新。マスコミ四媒体広告費が3年ぶりのプラス成長
ラジオデジタル広告市場は2024年、前年比121.4%の34億円と大きく成長。特にradikoをはじめとするストリーミングサービスが、デジタル音声広告市場の中での存在感を強めています。広告のターゲティング技術の向上により、リスナーの興味・関心に応じたパーソナライズ広告の配信が可能となり、企業のブランド認知向上やエンゲージメント強化に貢献しています。
またポッドキャストは、ストリーミングやダウンロードを通じて幅広い層にリーチできる音声メディアとして注目されており、若年層の利用率が高い傾向にあります。そのため、音声コンテンツを活用した広告戦略を採用する企業が増え、ブランドストーリーを伝える手段としての期待が高まっています。
広告業界の未来、進化するラジオデジタル広告の可能性
2025年以降、広告市場はデジタル技術の進化と消費者行動の変化に適応しながら成長を続けると考えられます。生成AIを活用した広告クリエイティブの自動生成や、インタラクティブ広告の拡充が進み、より高度なパーソナライズが可能になるでしょう。
また、ラジオデジタル広告の成長も続き、企業はポッドキャストやストリーミングプラットフォームを活用したターゲティング広告を強化しています。さらにOMO戦略の強化により、オンラインとオフラインを融合させたマーケティング手法が拡大する見込みです。
ブランド広告とパフォーマンス広告の境界も曖昧になり、ストーリーテリングとデータ活用を組み合わせた新しい広告手法が主流になっていくと予想されます。
OMO戦略とは
OMO(Online Merges with Offline)戦略とは、オンラインとオフラインの境界をなくし、シームレスな購買体験を提供するマーケティング手法です。従来のO2O(Online to Offline)が「オンラインで集客し、オフラインで購買を促す」流れだったのに対し、OMOはリアルとデジタルを統合し、顧客行動データを活用した最適な購買体験を創出します。店舗とECのデータ連携、モバイル広告を活用した来店誘導、リアルイベントとデジタル広告の融合などが代表的な手法です。
参照元:「2024年 日本の広告費」解説──3年連続で過去最高を更新。マスコミ四媒体広告費が3年ぶりのプラス成長
インターネット広告費は、この前3兆円超えたばかりと思っていたのに、もう3.6兆円かよ。