[科学で考えるソニックマーケティング]第5回:居心地の良いレストランってどんなだろう・・


※本記事は、タクト株式会社のnote「ソニック・アーキテクト(音の総合建築家) ー タクト株式会社」からの転載記事です。

[科学で考えるソニックマーケティング]第5回:居心地の良いレストランってどんなだろう・・

前回までの投稿ではソニック・アーキテクトの空間の音環境づくりでお店の売り上げアップに貢献できることや、酒屋さんでバロック音楽をBGMで流したら購入単価が上がったという事例をご紹介しました。では小売店ではなくレストランではどうでしょうか?

レストランで最適なBGMとは

酒屋さんで売り上げがあがったから、同じようにレストランでもバロック音楽をBGMで流しましょうか?

しかも長居して頂けるように、スローテンポのバロック音楽・・・

もちろん、スローテンポのBGMにした方がお客様がレストランに滞在する時間は長くなります。でも、我々、残念ながらローマ貴族ではありません。レストランに滞在する時間が長くなったとて胃袋に入るお食事の量には限りがありますから、滞在時間に比例してお食事代の売り上げが上がるわけではないのです。

が。

アルコールは別腹。ですよね。滞在時間に比例してアルコール飲料の注文は増えます。こんな研究もあります(注¹)。今度はアップテンポのBGMを再生するのです。アップテンポのBGMが流れているとアルコール飲料の注文数はスローテンポのBGMが流れている時と比較して、1テーブルあたり平均3杯も多くなるとか。

じゃあ結局レストランではスローテンポの曲とアップテンポの曲とどっちを流したらいいんですか~!

ソニック・アーキテクトが場所の価値を高めるお手伝いを

答えはソニック・アーキテクトがもっています。

重要なのは、レストランを訪れるお客様は「居心地の良い場所」を求められているということ。そして、居心地のよさとは、「音楽やサウンドはもちろんのこと、その空間に存在するすべての音やノイズが、そのレストランのスタイルやイメージ、ブランド、雰囲気とマッチしていること」から創られるわけです。ですから、冒頭から申し上げているように「〇〇だけを流せばよい。」という答えはなく、我々ソニック・アーキテクトが、空間に存在するあらゆる音やサウンドや音楽を分析、構築、改善し、居心地良い空間を創り、「お客様が長居したくなり、また戻ってきたくなる空間」、つまりその場所の価値を高めるお手伝いをするというわけです。

これは、「複合的・戦略的」な音の有効活用であり、「〇〇のBGMが万能だ」「〇〇だけを連呼する」「〇〇の特売日のメロディーだけ流し続ける」ということでは決してないということなのです。

次回投稿では、アメリカでのスーパーマーケットの「複合的・戦略的音の活用事例」をご紹介しましょう。

(注¹)Milliman, E.R., (1986) . The Influence of Background Music on the Behavior of Restaurant Patrons. Journal of Consumer Research, Vol. 13, No 2.

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本記事はタクト株式会社のnoteからの転載記事です。
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タクト株式会社 代表取締役社長であり、音楽芸術博士であるミテイラー千穂氏の著書『サウンドパワー わたしたちは、いつのまにか「音」に誘導されている!?』では、「音」と私たちの生活の様々な繋がりや、ビジネスをアップデートするための「サウンド」の重要性などが語られています。

マクドナルドのソニック・ブランディング「i'm lovin' it」から低周波音による健康被害、音による味覚の変化まで、日常のあらゆる場面で音が私たちに与える影響などを具体例を交えて紹介されています。


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