米国の俳優などが所属する労働組合SAG-AFTRA(全米映画俳優組合・米国テレビラジオ芸能人連盟)は、組合員の音声合成が広告使用される場合、納得できる形で収入を得られるようにするための規定をAI音声販売プラットフォームのNarrativ(ナラティブ)と締結しました。
明確な契約規定がなかった音声合成領域
SAG-AFTRAのダンカン氏は、多くの組合員が自らの音声合成を広告に利用することに関心を寄せている一方で、適切な保護措置がない状態での利用に慎重だったと説明しました。しかし今回、プラットフォーム「Narrativ」との協議を経て、この分野での安全な契約を提供できるようになったとのことです。
組合員の権利を保護する規定に
新契約の下では、組合員はNarrativプラットフォームに登録し、広告利用のオファーを受けた後、個別に音声合成の使用に同意するかどうかを決定できます。同意できる場合、組合員はSAG-AFTRAとの契約に基づき、最低賃金以上の報酬を受け取ることが保障されており、さらに高い報酬を交渉することも可能とのことです。また、組合員はいつでもプラットフォームから退会でき、その際には音声合成データも完全に削除される模様です。
継続的な努力が必要
この取り組みは、SAG-AFTRAの組合員に新たな収入源を提供すると考えられる一方で、従来の仕事の減少や音声合成の不正利用といった課題を残すとも考えられます。今後、こうしたリスクに対処しながら、契約方法の改善や新たな規定の導入を進めていくことが求められるでしょう。
SAG-AFTRAとは
SAG-AFTRA(全米映画俳優組合・米国テレビラジオ芸能人連盟)は、アメリカの映画、テレビ、ラジオ業界に従事する俳優や放送従事者を代表する労働組合です。組合員の権利や労働条件の改善を目指し、賃金交渉や契約保護などを行っています。映画やテレビ、広告業界での仕事において、公正な報酬や安全な労働環境を確保するため、さまざまな契約や規制を整備しています。
労働組合がこういう取り組みをするのって、かなり先進的なのでは?