音声が一番自分に合っていた。ポッドキャストアワード2部門受賞『肋骨パキ男の#パキラジ』が語る音声配信の魅力


インターネットラジオの代表格である「ポッドキャスト」の魅力はどこにあるのか。その配信者であるポッドキャスターへのインタビュー連載「ポッドキャスターに聴く」。

第3回は、『肋骨パキ男の#パキラジ』(以下『#パキラジ』)のパーソナリティである肋骨パキ男さんに話を伺いました。

音声が一番自分に合っていた。ポッドキャストアワード2部門受賞『肋骨パキ男の#パキラジ』が語る音声配信の魅力

第5回JAPAN PODCAST AWARDSにおいて、『パキラジ』は「パーソナリティ賞」と「報道・ドキュメンタリー部門最優秀賞」を受賞しました。

肋骨パキ男さんはアマチュアポッドキャストの認知を高めるために、今までにない企画を立ち上げ、リスナーやポッドキャスター同士をつなげていきたいと話します。目指すは「ポッドキャスターのハブ」。ポッドキャストを始めた経緯や、番組制作の背景について伺いながら、音声メディアの魅力と今後実現したいことを語ってもらいました。

ポッドキャストアワード2部門受賞の『#パキラジ』が語る音声メディアの魅力

本記事では、『#パキラジ』のパーソナリティである肋骨パキ男さん(以下『パキ男さん』)に話を伺い、音声メディアとの出会いやポッドキャストをはじめた経緯、リスナーとの交流の楽しさについて語ってもらいました。

番組紹介:『肋骨パキ男の#パキラジ』

URL:https://652pakiradio.com/

『#パキラジ』は、パキ男さんが自身の周りで起こった出来事や、自分が考えているリアルなことを発信しているドキュメンタリー番組です。第5回JAPAN PODCAST AWARDSでは「パーソナリティ賞」と「報道・ドキュメンタリー部門最優秀賞」を受賞しました。

音声が一番自分に合ったメディア

──パキ男さんは、いつから音声メディアを聴き始めたのでしょうか。

中学生の頃に、技術の授業でラジオを制作してからラジオを聞くことが好きになり、『オールナイトニッポン』をよく聴いていました。大学生の頃にはよりたくさんのラジオを聴くようになっていて、自身でもラジオ番組をつくってみるなど、音声での発信にも関心を持つようになっていきました。

音声が一番自分に合っていた。ポッドキャストアワード2部門受賞『肋骨パキ男の#パキラジ』が語る音声配信の魅力

肋骨パキ男さん

──パキ男さんのキャラクターはどのように形成されたのでしょうか。

小学生の頃から面白いことを表現して人を楽しませたり笑わせたりするのが好きでした。ドリフの志村けんの「バカ殿」とかが大好きで、そういうものが自分のキャラクターを形作った一部となっていると思います。

昔からインプットしたことを発信するのが好きだったのですが、音声での発信が一番僕に合っていると思います。音声は収録して配信するだけなので気軽にできますし、僕は文章を書いたり読んだりすることがあまり得意ではなくて、音声が自分にとって一番身近な発信方法でした。

また、自分のセクシャリティはオープンにはしていないですし、匿名性がある音声での発信により一層魅力を感じていました。

──音声配信を始めたきっかけはなんですか?

しばらく配信を続けていると、同じ2021年に番組を始めたポッドキャスターの方とも交流が増えてきました。僕自身も、ちょうどRadiotalkだけじゃなくてポッドキャストにも力を入れていきたいと思っていたので、ポッドキャストでも配信を始めました。

重視するのは、リスナーが番組に関われること

──『#パキラジ』はどのような番組なのでしょうか?

僕の身の周りで起こった出来事や、自分が考えているリアルなことを発信しているドキュメンタリー番組です。他にもセクシャリティのことだったり、旅行先で現地の音声と共に配信したりもしています。また、他番組やリスナーを巻き込んだ企画やコラボもよく行っています。

──『#パキラジ』のリスナー層について教えてください。

男女半々くらいですね。年代は30代から50代が主で、特に40代や50代の方が多いです。意外だったのは、50代くらいのお母さん方に熱烈に応援していただいていることですね。先日のポッドキャストウィークエンド(ポッドキャスターが集まる下北沢開催のマーケットイベント)でも、お母さん方が複数人で会いに来てくれて。中には感激して泣いた方もいらっしゃいました。

小学校の先生をしていたときから、なぜか保護者であるお母さんに信頼してもらえることがありました。はっちゃけてわちゃわちゃやっているところや、少し頼りない感じが親しみを持ってもらえるのかなと自分なりに考えています。

音声が一番自分に合っていた。ポッドキャストアワード2部門受賞『肋骨パキ男の#パキラジ』が語る音声配信の魅力

ポッドキャストウィークエンドにも参加

──番組作りで大事にしていることは何ですか?

リズム感を大事にしています。聴いている方が飽きないような番組にしたいので、短くリズム良く、15分程度で終わるようにしています。番組構成もオープニング前トーク、前半トーク、後半トークに分けて、それぞれ約5分で切っていくようにしています。

Radiotalkには収録時間に制限があり、良い意味で、その尺に慣れていたような気がします。実際、ひとりでやっている番組なので、30分も話そうと思ったら大変です。短いからこそ、気軽に聴いてもらえるかなと思っています。

──番組作りにあたって参考にした番組はありますか?

参考にしたのは、『オールナイトニッポン』ですね。大学生の頃に旅行先などで録った音声を編集して『オールナイトニッポン』風の番組をつくっていました。写真では伝わらない当時の声からよみがえる思い出に魅力を感じ、友達との青春を形にしていました。そのときの経験は、今の番組構成などにも活かされています。

──『#パキラジ』ではリスナー参加型の企画もよく実施されています。

そうですね。リスナーさんが番組に関われることも番組作りにおいて重視しています。先日は、自動車メーカーのホンダさんが開発した「RoadVoice」というアプリを活用し、「みみよりみちくさ(#みみみち)」という企画を行いました。

RoadVoiceは位置情報に基づいたポッドキャストを配信できるアプリで、「みみよりみちくさ」はポッドキャスターが好きなお店を紹介するという企画です。聖地巡礼のようなエンタメ性も盛り込みつつ、リスナーさんがお店に足を運ぶというアクションを引き出すことも意識しました。

インプットが配信モチベーションに

──ペアで配信している番組も多い中、パキ男さんはソロでの配信を続けています。どのように配信のモチベーションを保っているのでしょうか?

僕が受賞した回のポッドキャストアワードも、僕以外のポッドキャスターはほとんどがペアでしたね。ソロの番組は一人で配信できる気軽さもある一方で、確かにモチベーションを保つのが大変です。

音声が一番自分に合っていた。ポッドキャストアワード2部門受賞『肋骨パキ男の#パキラジ』が語る音声配信の魅力

JAPAN PODCAST AWARDS授賞式にて

僕は何か刺激を受けたり、新しいものや面白い話に出会ったときに、それを誰かにシェアしたいという気持ちが生まれるんです。そうしたインプットを受けることでモチベーションが保たれていると感じています。なので、人と会ったり、なんでも体験したり挑戦したりしてみることを日々大切にしています。

ただし、必ずしも絶対に週1回の頻度で配信しようとも思っていません。私生活が忙しいときや企画が続いて疲れちゃったときなどは、思い切って配信を数週間休むこともあります。ポッドキャスターは「配信しなくちゃ」と自らにプレッシャーを課すのでなく、適度に自分でコントロールしながら配信に臨んでほしいですね。

──初めて『#パキラジ』を聴く方におすすめの回はありますか?

2つあって、1つ目は2023年2月に配信した「ポジティブなカミングアウトだけじゃない」という回です。これはポッドキャストアワードで受賞するきっかけになったエピソードです。家族に自分のセクシュアリティをカミングアウトしたがなかなか受け入れてもらえなかった話をしています。

2つ目は2024年1月に配信した「パキ男教師やめたってよ」という回です。小学校教諭を辞めて一区切りしたと同時に、初任で担任をした児童の成人式に参加したことを話しています。教え子たちにも、出演してもらい小学校当時の思い出を対話している部分も注目してほしいです。

どちらも自分の想いを込めた配信で、いつものポップな感じと言うより真面目に語っている回です。この2つは多くのリスナーさんから好評をいただいています。

──『#パキラジ』では、どのようなマネタイズの取り組みをしていますか?

Radiotalkのメンバーシップや投げ銭のほか、LINEスタンプやTシャツ、パーカーなどのグッズ販売を行っています。僕はリスナーさんへプレゼントを贈ることもあり、正直なところ支出も多いです。ですが、そうやって交流をしていくうちに様々な出会いもあり、ポッドキャストアワードという貴重な経験もいただいて、お金以上のプライスレスな価値を実感しています。

目指すはポッドキャスターとリスナー、企業を繋げる「ハブ」

──今後の目標について教えてください。

今後はアマチュアポッドキャストの認知を広げていきたいと思っています。これまで色々な企画やコラボを行ったり、ポッドキャストアワードで賞をいただいたりするなかで、多くのポッドキャスターやリスナー、企業との繋がりができています。その繋がりを活かし、ポッドキャスターとリスナー、企業を繋げるハブのような番組になっていきたいです。

先ほど紹介した「みみよりみちくさ」は、ポッドキャストアワード受賞時にホンダさんから声をかけていただいたことがきっかけです。このような企画をもっとやっていきたいですね。

──最後に、これからポッドキャストを始める人にアドバイスをお願いします。

「みんなに聴いてもらえるかな」、「配信を続けられるかな」と不安を抱いている方は、肋骨パキ男に声をかけてください。僕は色々な企画やコラボをやっているので、一緒に手を繋いでポッドキャストを盛り上げていきましょう。ぜひ気軽に、肋骨パキ男を“利用”してくださいね!

取材を振り返って

様々な企画やコラボを通じてポッドキャストの輪を広げているパキ男さん。アマチュアポッドキャストを盛り上げていきたいという思いが強く伝わってくる取材でした。ソロ配信ならではのモチベーションの保ち方も印象的です。

インタビューにあたり、パキ男さんから『#パキラジ』を紹介する音声コメントもいただいています。実際のパキ男さんの声で番組の魅力が語られていますので、ぜひお聴きください!

肋骨パキ男の#パキラジ


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