音声広告とは、ラジオ放送やインターネットラジオなどで流れる音声の広告のことです。最近ではこれまでの地上波ラジオCMに加え、radikoのようなインターネットラジオやポッドキャスト、Spotifyに代表される音楽配信サービスなどのデジタル音声メディアへの出稿が増加しています。
インターネットの音声メディアへの音声広告は、「デジタル音声広告」と呼ばれており、その他のインターネット広告と同様に、ターゲティング機能や広告配信数のレポーティングが可能な点が特徴です。
デジタル音声広告が注目を集める背景の一つに挙げられるのが、音声サービスの拡大です。
イギリス発調査会社MIDiA Researchによると、世界の音楽配信・ストリーミングサービスは、2021年にサービスの有料ユーザー数が5.23億人を突破しました。2020年の有料ユーザー数と比べると26.4%増加したことになります。(*1)
昨今のスマートスピーカーや音楽配信サービスの普及にともない、デジタル音声コンテンツを中心とした音声サービス市場は今後も成長が予想されます。
(*1) 参照元:Music subscriber market shares Q2 2021
デジタル音声広告(オーディオアド)とは?
音声のみで情報を伝えて販促を行うマーケティング手法は、もともとラジオ広告が主流で、音声広告とは呼ばれていませんでした。
しかし、Spotifyをはじめ多くの音楽配信サービスが生まれたことによって、しだいに音声広告(デジタルオーディオアド)と呼ばれるようになってきました。
日本ではまだまだ馴染みが少ないデジタルオーディオアドですが、2018年中頃にGoogleのDouble Click Bid Managerで音声広告の配信が可能になったりと、欧米においては既に普及し始めている広告出稿先の一つです。
デジタルオーディオアドはラジオのように音声を人の記憶や印象に残すブランディング・認知拡大効果をもちながら、インターネット広告の強みであるターゲティングも可能で、ラジオよりもパーソナライズした広告配信が可能になることが強みと言えます。原則、動画広告のようなスキップができないため、確実に広告を聴取者に届けられるアドフラウドレス性の高さも特徴です。
また音声広告といっても、ラジオのように一方的に伝えるだけでなく、iPhoneのsiriのような音声アシスタントを使った対話形式の広告配信が行えるものもあります。
1.デジタル音声広告(Digital Audio Advertising /オーディオアド)
アプリを活用した音声メディアでは、一般的にはクリック課金のように、実際に特定の広告を聞いたユーザー数によって費用が発生し、他の運用型デジタル広告と同じようにデバイスやユーザー情報を元にターゲティングを行うことが可能です。ラジオ広告とは異なりインプレッション数による広告配信やユーザーセグメントを絞れるのが強みと言えます。
配信先はSpotifyやSound Cloudといった音楽配信サービスアプリや、ポッドキャストなどのラジオサービスになります。
デバイスの位置情報を活用した具体的なエリアターゲティングにより、地域ごとのターゲットセグメントも可能なため、例えば旅先のドライブ中に近くの観光地やお店の音声広告を流し、アクションに繋げるといった活用方法も可能になると考えられています。
2.対話型音声広告(interactive voice ads)
従来のWeb広告では、インプレッションやクリック、コンバージョンといった方法で広告の成果を計測が可能ですが、音声広告ではユーザーがアクションを行ったかどうかの判定ができず、効果測定が難しいものでした。
しかし、インタラクティブ音声広告であれば、単純に広告を流すだけではなく、その商品についての詳細を知りたいかどうか尋ねることができます。
これによりユーザーが関心をもった場合、更に詳しい情報をユーザーに伝えることや、会話形式でより具体的な商品詳細や別の商品を紹介することも可能になります。
将来的にはスマートスピーカーといったデバイスから商品を注文することも可能になることでしょう。
デジタル音声広告(オーディオアド)の効果
Spotifyオーディオアドのブランディング効果
デジタル音声広告では、マス広告のように複数回ユーザー接点を持つことによりブランド認知や純粋想起を高めます。Nielsen Media Labが2017年に公開した調査結果では、Spotifyオーディオアドでは一般のウェブサイトのディスプレイ広告に比べて、ブランド想起が24%アップ、関心・購買意欲が2倍、広告理解が28%アップしたという調査結果が出ています。
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Amazon音声広告による認知度向上の効果
Amazon音声広告とは、AmazonMusicの無料ユーザを対象に配信される音声広告のことです。
Amazonはこの音声広告による成功事例として、Samsung社の事例をあげています。Samsung社は、自社スマートフォン「Galaxy S10 Lite」の発売に伴い、音声広告の配信をAlexaやFire TVなど様々なデバイス・メディアを通じて行いました。
この事例はあくまで、Amazonの動画やバナーといった視覚の広告とあわせて行われたキャンペーンの結果であるものの、その結果として、自社サイトのGalaxy S10 Liteのページの閲覧率41%増加、商品の認知度18%増加、閲覧数が763%上昇、Galaxy S10 Liteの売り上げ29%増加という効果が出ています。
Amazonの音声広告は、まだ日本では出稿できないものの、Amazon MusicやAlexaを通して、今後数多くの顧客に効果的にリーチできる音声広告枠となる可能性があります。
音声広告は邪魔に感じず、むしろ興味を引く
Adobeが行った音声広告に関する調査(18歳以上の米国の消費者1,000人を対象に調査した「2019 Voice Report」)によると、下記のような結果が出ました。
25%の人はスマートスピーカーで音声広告を聞いたことがあると答え、その多くの人が問題ないと回答しました。実際、消費者の43%が、音声広告はテレビ、印刷物、オンライン、SNSの広告より押し付けがましくないと答えました。さらに、42%の人は音声広告は他のチャネルの広告より興味を引くと回答しています。
ちなみに、スマートスピーカーを所有している72%のユーザーが音楽再生をメインに利用しているそうです。
デジタル音声広告(オーディオアド)の市場規模
アメリカでのデジタル音声広告(オーディオアド)の市場規模
2016年~2023年の音声広告による広告収入の推移を米IAB社が発表しています。
※広告収入(Advertising Revenue)とは、媒体が広告を掲載して得る収入のこと。
2016年の音声広告による広告収入は11億ドルですが、2017年には66%増の18億ドル、2018年には23%増の22億ドルに増加しています。2019年はさらに21%増加し年間27億ドルに、2020年は13%増で30億ドルに、2021年は58%増で48億ドルに、2022年では21%増で59億ドルに、2023年では18%増で70億ドルに成長しています。引き続き音声広告への広告出稿は増えていくと考えられます。
\日本国内で発展中の音声市場/
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日本国内でのデジタル音声広告(オーディオアド)の市場規模
2020年2〜3月にデジタルインファクトが行った調査によると、日本国内でのデジタル音声広告の市場規模は2020年時点で前年比229%、16億円規模になると予測されています。
さらに2022年頃より急速な成長を経て、2025年には420億円規模になると見込まれています。
海外に続き、日本でもデジタル音声広告市場が伸びていくことが期待できます。
音楽配信サービスユーザーの増加数
ドイツのオンライン統計会社Statista社のレポートによると、世界中で音楽配信サービスを利用するユーザー数は2019年には13億人に、2023年には15億人になると推定されています。
音声広告は音楽配信サービスとの親和性が高いため、市場規模としてはかなり期待できるのではないでしょうか?
デジタル音声広告の事例・出稿のできる音声メディア
1.Spotifyの音声広告「Spotifyデジタル音声広告」
世界2億人以上のユーザー数を誇る定額音声サービス『Spotify(スポティファイ)』の無料ユーザーに対し、楽曲間のブレイクに最大30秒の音声広告を配信する音声広告面です。
Spotifyアプリ使用ユーザーに対し多彩なセグメントターゲティングが可能なことが特徴で、プログラマティック広告による配信を行う場合は、サードパーティーデータと掛け合わせることが可能で、さらに細かなターゲティングによる音声広告配信が可能になります。
オトナル社では、Spotifyオーディオアドの広告配信サービス『Spotify音声広告配信』を提供しています。
2.radikoのターゲティング広告「radiko(ラジコ)オーディオアド」
radiko(ラジコ)はスマートフォンやパソコン等でラジオが聴ける無料の音声サービスです。
自身のいるエリアのラジオを、ライブ配信や過去1週間以内の番組聴取が可能な『タイムフリー』で聴くことができます。またプレミアム会員(有料)になると『エリアフリー』機能で日本全国のラジオ局を聴くことが可能になります。
【radiko(ラジコ)オーディオアドの特徴】
ラジオ広告の純広告費は2000年から2017年の17年間で2,017億から1,290億円(62.3%減)への減衰傾向にありました。逆にインターネット広告費は590億から1兆5094億まで伸びており、その違いは大量に一律のリーチを取りに行くマス広告からパーソナライズされたターゲティング広告が広告主側から求められた結果なのではないかと分析されていました。
そこでradikoでは、これまでラジオを聞く人に一律に同じ広告を配信していた広告手法でなく、過去に聞いた番組の履歴や会員データ、位置情報からユーザーを可視化した独自のDMPを構築し、それを活用した「radiko(ラジコ)オーディオアド」をリリースしました。地上波ラジオでの一律広告配信枠とは違い、radikoユーザーの一人ひとりに合わせた個別の配信が可能となっています。
運用型の音声広告配信に加え、位置情報ターゲティングやブランドリフト調査など、データを活用した配信も可能です。
radiko(ラジコ)オーディオアドの詳しい内容は『ラジコ(radiko)オーディオアド プログラマティック広告配信』から確認することができます。
\国内最大規模のインターネットラジオアプリ/
radikoの詳細を以下からご覧いただけます。
radiko広告の資料を確認する
3.ポッドキャスト
ポッドキャストオーディオアドは国内最大級のポッドキャストアドネットワークです。高品質なプロパブリッシャーの番組にマルチプラットフォームで出稿が可能です。現在、国内のポッドキャストユーザーの増加が進み、ユーザー総数は1,600万人となっています。なかでもZ世代での高い普及率が市場拡大を進めています。
また、ポッドキャストオーディオアドではご予算や出稿期間に合わせた配信が可能です。広告の挿入位置やターゲティングに関してはプランニング時に商材に合わせて選定しております。
詳細については『ポッドキャストオーディオアド』から確認することができます。
4.ニッポン放送 ポッドキャストオーディオアド
ニッポン放送が配信しているポッドキャスト番組に、CPM(imp・配信数)課金、ターゲティング可能という性質を持つ音声広告の配信が可能です。これにより、これまでのウェブバナーを使ったデジタル広告同様、予算に応じて広告配信量で課金される音声広告の広告出稿が可能となっています。
配信面としては、各種ポッドキャストアプリ、スマートスピーカー、ウェブサイト上のプレイヤー配信面へマルチプラットフォームで配信が可能です。
ターゲット選定や配信機能の詳細については『-プログラマティック音声広告- ニッポン放送 ポッドキャストオーディオアド』から確認することができます。
5.文化放送 ポッドキャストオーディオアド
ニッポン放送 ポッドキャストオーディオアドと同様のシステムでCPM課金、ターゲティング可能な音声広告を文化放送のポッドキャストでも配信が可能です。
販売しているデジタル音声広告枠は、文化放送がポッドキャスト用に再編集して配信を行っている「大竹まこと ゴールデンラジオ!」、「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」、「髭男爵 ルネッサンスラジオ」の3つの番組のもので、広告配信可能なポッドキャスト番組は今後さらに増加を予定しています。
詳細については『-プログラマティック音声広告- 文化放送 ポッドキャストオーディオアド』から確認することができます。
6.ポッドキャスタープロモーション
ポッドキャストプロモーションは、人気のポッドキャスター(音声インフルエンサー)がポッドキャスト番組内で商品やサービスを宣伝するホストリード型の音声広告プランです。
番組に合わせて商品を紹介することでリスナーや消費者に愛され、態度変容や記憶に残るインフルエンサーマーケティングを実現します。
詳細については、『ポッドキャスタープロモーション ポッドキャスト配信者が読み上げる音声広告』から確認することができます。
7.音声メディアの広告「朝日新聞アルキキ」
「朝日新聞アルキキ」は知っておくべき大事なニュースが、たった「5分」でまとめて聞ける、朝日新聞社が提供する音声ニュース配信サービスです。
「朝日新聞アルキキ」ではスマートフォンアプリ版と音声アシスタント版とでデバイスに応じた広告挿入が可能です。
オトナル社では、音声メディア『朝日新聞アルキキ』への出稿と、音声広告クリエイティブ制作セットになった広告運用サービス『朝日新聞アルキキ 広告クリエイティブセットプラン』を提供しています。
8.TOKYO FMとパイオニアの「ドライブ行動特化型デジタル音声広告」
株式会社エフエム東京(TOKYO FM)が提供しているラジオアプリ「WIZ RADIO」とパイオニア株式会社がカーナビゲーションで培ってきたプローブ情報解析技術(カーナビから分かる走行履歴や挙動履歴等)からドライブの頻度や時間、旅先などの行動特性を解析し、そのデータを基に個々のユーザー特性に合わせて最適なタイミングで広告配信するサービスをリリースしました。
今後は地点属性情報や行動先読みから、よりパーソナライズされた広告配信を可能にしていくとのことです。
9.デジタル音声広告「YouTube Audio」
YouTubeとYouTube MusicのPC、モバイル、タブレットの広告枠に音声広告を配信可能です。画面にはクリック可能な画像および静止画ベースの動画を表示することができます。
静止画を表示した場合のイメージ
また、ユーザー属性、キーワード、カテゴリー、ユーザーの興味・関心、エリア、デバイスなどでターゲティングを行い最大15秒の音声広告を配信することが可能です。
オトナル社では、YouTubeへの音声広告の出稿と、音声広告クリエイティブ制作がセットになった広告運用サービス『YouTube Audio』を提供しています。
10.米Instreamatic社の「インタラクティブ音声広告システム」
Alexaのラジオやポッドキャストなどへの音声広告配信を可能にするDSPを公開しています。AIを活用した音声解析技術により、興味の有無を問いかける音声広告を配信し、ユーザーが興味の有無を音声で回答することで広告を配信したり、ユーザーに合わた配信を可能にしています。
2019年3月に博報堂DYメディアパートナーズと提携しており、動画メディアやスマートスピーカー、コネクテッドカーやスマート家電などに対して音声広告を導入していくとのことです。
11.音楽アプリ「ボカコレ」
「ボカコレ」は、ニコニコに投稿された音楽、音声系動画の音声だけを再生できるiOS / Androidスマートフォンアプリです。
人気のVOCALOID(ボーカロイド)曲や音楽ゲーム曲など100万曲以上から楽曲をプレイリスト化して聴くことができ、楽曲以外にもゲーム実況者のラジオやシチュエーションボイス等の音声コンテンツを楽しむことができます。ボカコレはZ世代の若年層を中心に支持されるVOCALOID(ボーカロイド)に特化した音声メディアです。
「ボカコレ」の音声広告枠では、楽曲再生時の冒頭(プレロール)に15秒以内の音声広告を配信することができます。音声広告とセットで、広告タイトルテキストとクリック可能なコンパニオンバナーが掲載されるため、外部サイトへの遷移が可能です。
曲と曲の合間である楽曲間のブレイクに広告を配信するため、FMラジオ広告のような広告体験を実現できます。
またバックグラウンド再生にも対応しており、スキップ不可の音声広告であるため広告メッセージをきちんとリスナーに届けることができます。
詳細については、『オトナル、ボーカロイド楽曲に特化した音楽アプリ「ボカコレ」の音声広告を販売開始』から確認することができます。
12.スマホゲーム内音声広告
ゲーム内音声広告は、ゲームを中断せずにエンゲージメントを高める広告手法です。
ゲームを中断して再生する動画広告や、画面を専有するバナー広告に比べ、高いユーザー体験を実現します。
また、まるでゲーム中にラジオ広告を再生するような体験を実現するため、非常に高いCTR(クリック率)やビューアビリティが特徴です。
13. Voicyの音声広告「Voicy Branding Program」
「Voicy」は、著名人・芸能人や様々な分野で活躍する専門家の方々がパーソナリティとして発信する声の音声メディアです。 新聞社などの公式ニュースやエンタメ・役に立つビジネス情報など、日々多彩な音声コンテンツが発信されています。
Voicyでは「Voicy Branding Program」を通して御社の商品、サービスを効果的に訴求可能です。「Voicy Branding Program」は、厳選されたパーソナリティと、そのパーソナリティへ愛着を持ってフォローするリスナーコミュニティに、 企業やブランドが仲間として参加するスポンサー/タイアッププログラムです。
好きなパーソナリティがブランドに賛同し、 ブランドがパーソナリティの活動を応援することで、リスナーのブランドへの興味・好感が増していきます。
詳細については、『Voicy Branding Program Voicyの音声ブランディングサービス』から確認することができます。
14.「stand.fm」の運用型音声広告
「stand.fm」は、stand.fm社が運営する音声配信アプリケーションです。「音声配信を気軽にもっと楽しく」をコンセプトに誰でも気軽に収録ができてすぐに配信でき、リスナーは人気のお笑い芸人からスポーツ選手まで、幅広い配信者のライブまたはオンデマンドの音声コンテンツをラジオ感覚で楽しむことができます。
「stand.fm」の運用型音声広告では、配信される音声コンテンツの音声広告枠に、プログラマティック(運用型)広告として配信することができます。広告買い付けシステムである各種DSP(Demand-Side Platform)から、ターゲティングやデータ連携による効果検証を実現する広告買い付けが可能となっています。
詳細については『stand.fm(スタンドエフエム)のプログラマティック音声広告』から確認することができます。
デジタル音声広告の未来とは
iPhoneのsiriをきっかけに、Googleの音声アシスタントや各社が販売しているスマートスピーカーを通じで、日本でも音声ベースのコンテンツや音声操作が浸透してきました。
米Com Score社の調査では2020年までには検索の約50%が音声検索になるといわれるほど、音声ベースのコンテンツの重要性が高まっています。
こうした中で、デジタル広告として音声広告の価値は顕著になっていくことが予想されます。
オトナルでは日本でも注目されるデジタル音声広告の市場について、『音声マーケティング最前線2024(成長する音声コンテンツとデジタル音声広告市場)』というレポートに市場とその動向についてまとめています。
音声広告について興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
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