1925年に日本で初めてラジオ放送が開始されて以降、マスメディアの一角としてラジオは聴かれ続けてきました。最近では2021年ころからのClubhouseやTwitter Spacesなどの登場やポッドキャストの盛り上がりをみせており、音声のメディアの代表格である「ラジオ」にも様々な変化が起きています。本記事ではラジオの広告をテーマに、ラジオを取り巻く環境や市場、その特徴やインターネットラジオなどについても説明をしていきます。
ラジオ広告とは?
ラジオ広告とはラジオの放送中に流れる広告です。
時間帯によってラジオ放送を聞く聴取者(リスナー)層が分かれています。
たとえば、朝は通勤や通学をするサラリーマンや学生が、昼は家事をする主婦層が聴取者(リスナー)層となるでしょう。また、夜〜深夜は受験勉強をする中高生、タクシー運転手や長距離移動のトラック運転手などが中心となると考えられます。
このようにラジオ広告の出稿を検討する場合は、対象となるリスナー層が番組単位で異なるため、広告を届けたいユーザー層にあった番組を選定し、最適な番組の広告枠に出稿を行う必要があります。
ラジオ広告の効果
ラジオ広告はYoutube内広告などと異なり広告をスキップすることができず、またテレビCMなどに比べると、"ながら聴き"と呼ばれる自動車の運転中など別の何かをしながらコンテンツや広告に接触するシチュエーションと相性が良いという特性があります。またソニックブランディングに代表される音声を使った刷り込み効果は長期記憶に強いことも特徴です。ラジオ広告の特徴から生まれる効果について見ていきましょう。
- リーセンシー効果
- イメージャリートランスファー効果
- 押し上げ効果
- フリークエンシー効果
①リーセンシー効果
リーセンシー効果とは、メディアCMが実際の買い物での商品選択に与える影響を指します。
買い物に行くまでの手段として使われる車ではラジオを聴く。ショッピング直前に接したメディア広告がその後の買い物に影響を与えることから、ラジオ広告はリーセンシー効果が期待される広告種となっています。
学術雑誌のThe Academy of Management Journalの発表によると、被験者に無関係な項目(例えば、単語、事実、行動など)のリストを与え、その情報を後で思い出すように指示した時、人は途中の項目よりも最初と最後の項目を思い出す可能性が高いことを発見しました。
②イメージャリートランスファー効果
イメージャリートランスファー効果とは、ラジオCMを聞いた時にテレビなど他の視覚的なメディア広告を想いおこす効果のことです。
ラジオ広告を聞いた時、視覚的な情報を思い出すことで具体的に購買意欲を上げることができます。
クイーンズランド工科大学の研究において、イメージの広告伝達モデルを3段階に表して説明している。ブランドの他のスポンサーシップに触れることで、現在のイベントとスポンサーの関連性の評価に影響を与えるインタラクティブな効果が生まれることを提案します。スポンサーシップ間の一致は、相互作用効果の大きさを調整すると考えられます。その結果、イベントとスポンサーのイメージの関連性が強化されたり、阻害されたりすると考えられる。
参照元:A Theoretical Framework for Analysis of Image Transfer in Multiple Sponsorships
③押し上げ効果
テレビCMや街頭広告のみだけの打ち出しではなく、ラジオ広告を出稿することで商品やサービスの認知度がアップする効果を指します。
イギリスの民間ラジオであるRadiocentreの調査によると、ラジオ広告に触れることで、ブランド閲覧数が平均52%増加しました。閲覧数に対する効果が最も高かったラジオキャンペーンでは、シンプルな提案を明確に伝えており、特にテレビCMなど他のメディアでの広告と組み合わせて訴求した場合に顕著でした。
参照元:Radio: The Online Multiplier
④フリークエンシー効果
フリークエンシー効果とは何度も同じCMを聴くことで商品やサービスの名前を覚えてしまうことを指します。
特にラジオでは毎週固定のリスナーを持つ番組などがあるため、ターゲットにあった出稿を行うことでフリークエンシー効果を最大限に生かすことができます。
学術雑誌Procediaの報告によると、ブランドイメージとスポークスパーソンの信頼性は広告の頻度の有意に影響していることを示しています。広告の頻度が多ければ多いほど、視聴者の理解が深まると指摘しています。 広告の効果が6つのレベルを含んでいることを示しており、レベルが高いほど、高頻度の広告が放送される必要があります。例えば、頻度が1〜3回であれば、消費者は商品の内容しか覚えていない。頻度が3〜6回であれば、視聴者に質問されると、その商品を特定する。頻度が4〜7回であれば、視聴者は関連商品の資料を理解しに行くことを示唆している。頻度が6~10回であれば、その製品やサービスに対して偏愛を持ち、その態度はポジティブである。広告の頻度が10回以上であれば、訴求された瞬間に製品を購入する可能性があることを意味します。
効果測定の方法
ラジオ広告の効果測定は、主にラジオ「聴取率」を指標として行います。
聴取率データを元にGRP(延べ聴取率)を測り、どの程度ユーザー広告が届くかを試算します。
GRPとは
広告媒体の放送時刻の毎分あたり世帯聴取率を全て足して計算することで、延べ聴取率を割り出す。ただ、ターゲット層が特定できないことや本当に聞いていたかわからないというデメリットがあります。
ラジオ広告の費用と種類
ラジオ広告は大きく分けて2種類存在しますが、その違いをご存知でしょうか。
タイムCM(番組提供)
番組やコーナーのスポンサーとして打ち出すラジオCMの形。
番組提供のタイプにはベルト番組、箱番組、曜日縦取りなどがあります。
スポットCM
スポットCMはCMを流す期間と時間、回数を指定して発注するタイプのラジオCM。予算に合わせた広告の打ち出しが可能になります。
ラジオ広告の費用
ラジオ広告を出稿するにあたりかかる費用は制作費と放送料の二つになります。
それぞれどのような組み合わせにするかで全体の費用が変わってくるため、二つそれぞれの費用感を知ることである程度の費用を測ることができます。
制作費は地方では3~5万円、都内では10万程度。放送料はスポットCM1本あたりの単価が、地方局で数千円から5万円程度、都内で2万円から10万円程度となっています。
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ラジオ広告の出稿方法
ラジオ広告を出稿する際に必要になるものは大きく分けて二つ、CM制作と放映依頼です。それぞれ制作方法や依頼先などによって値段感が異なるため、簡単に紹介します。
ラジオ広告制作
ラジオ広告の制作にはラジオ局に直接制作から出稿まで依頼するか、プロダクションに依頼するかの二つのパターンが存在します。
ラジオ局に直接依頼する場合、関東圏では20秒CMで15万円前後が相場です。基本的にはアナウンサーによる読み上げを行うものが多いです。局によっては、CMの放送期間などによって値段の相談が可能なところもあるので一度問い合わせてみることをオススメします。ただしラジオ局が制作したCMは他の局で使えない可能性もあるのでそちらも合わせて確認してみたほうが良いでしょう。
制作プロダクションへの依頼はサウンドロゴなど完成度の高いCMを求める場合に最適です。オプションによって費用が異なりますが、ラジオ局での制作のようにスタジオを所有している訳ではないのでラジオ局への依頼よりも費用が高くなります。
ラジオ放映
ラジオCMの放映は直接ラジオ局に依頼する場合と、代理店経由で依頼する場合の2パターンがあります。
直接依頼する時には、制作込みか持ち込みかのどちらかになります。制作込みの場合は依頼したラジオ局以外でCM素材を使えなくなる可能性があるので要注意です。
代理店経由の場合は複数のラジオ局に配信することができます。また広告の効果測定まで行ってもらえる代理店もあります。
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ラジオ広告の現在と未来
近年、ラジオの聴取率と若者の聴取者減少が深刻化しています。民放98局(2022年3月時点)のラジオ放送を聞くことができるインターネットラジオアプリ「radiko」の聴取ユーザー層は40-50代がその50%以上を占めています。
ただ、その一方でスマートフォン・スマートスピーカーの普及により以前よりも手軽にラジオを楽しむことができるようになりました。音声SNSやポッドキャストなどの新しい音声メディアも登場する中、ラジオの未来はどうなって行くのでしょうか。
ラジオが抱える問題
冒頭でも述べた通り、毎年落ち込む聴取率と若者の聴取者の減少が大きな問題とされています。NHK放送文化研究所が発表した「国民生活時間調査」によると、1995年から2020年にかけての平日における個人聴取率は17.4%から9.8%に減少。若者の聴取者に関しては、12.1%から2.6%に減少しているのが現状です。
インターネット登場前の全盛期からは低下しているものの、ここ10年ほどのラジオ広告とインターネット広告市場の動きをみると興味深い市場の変化に気づくことができます。
減少するマス広告と成長を続けるインターネット広告
マスメディアとインターネットメディアの傾向では、マスメディアの広告費の減少に対して、インターネット広告市場は拡大しています。
(※なお実際は新聞社や出版社の売上も「ウェブ版」に移って増加しているため、上記の図の「インターネット」の中に新聞社や出版社の売上も含まれています。)
そのなかで、ラジオ広告は、インターネット上に明確な音声メディアの競合がいなかったため、ここ数年は1200億円台の広告市場規模の中でほぼ横ばいで遷移してきました。上記のグラフを見ると、ラジオ広告が2011年から2019年まで、ほとんど広告市場サイズに変化がなかったことがわかります。
(※なお2020年はコロナ禍の影響で、1000億円台まで市場を減らしています。)
インターネット時代に進化するラジオ広告
インターネットの音声メディアは、ワイヤレスイヤホンやスマートスピーカーの普及を背景に世界的に市場が成長しています。ラジオにおいてもその影響を受けており、音声アプリやポッドキャストによるインターネットラジオというかたちで新しいデジタルメディアとしてその可能性を広げつつあります。
在宅環境下で更に成長をみせるインターネットラジオアプリ『radiko(ラジコ)』
2010年から開始されたインターネットラジオアプリ『radiko』は現在、日本中の民法ラジオ局98局(2022年2月時点)が加盟するradikoは、ラジオリスナーがスマートフォンでそのままラジオ局の音声番組を楽しむことができるという性質から、ラジオの非常に優秀なインターネット音声コンテンツ配信インフラとなりつつあります。2020年にはコロナ禍のステイホームや在宅ワークの影響もあり、radikoの月間利用者は900万人を突破しました。
参照元:「音声×デジタル」のパイオニア的存在・radikoに聞く、音声メディアの変遷と広告媒体としての可能性
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インターネットで進化するラジオ広告
本記事の冒頭でも触れたとおりマス広告の広告費用は減少傾向にあります。それはインターネット広告の登場により広告の目的がマスに届けることから、セグメント化してターゲットに届けることに変わったからです。放送で流すラジオCMではユーザー単位で広告のターゲティングや出し分けを行うことは不可能です。
しかし、現在ではradikoや音声アプリ上でのラジオ聴取が可能になっています。このラジオ聴取形態の変化はアプリ上のユーザーをセグメント・ターゲティングして広告を届けることを可能にしました。これまでの地上波ラジオのような枠を買うだけの広告ではなく、セグメントされたユーザーに届ける広告の形式が取られています。そのため、広告効果が見えやすく広告の表示回数やコンバージョン率を後々確かめることができます。
成長するインターネットの音声広告(デジタル音声広告)市場
これらのメリットから、米IAB社が発表した2016年~2023年の音声広告による広告収入の推移によると、米国では2016年の音声広告による広告収入は11億ドルですが、2017年には66%増の18億ドルに増加しています。2018年はさらに23%増加し年間約22億ドルに、2019年は21%増で27億ドルに、2020年では13%増で30億ドルに、2021年では57%増で48億ドルに、2022年では21%増の59億ドルに成長しています。
2023年度のデジタル音声広告の市場規模は、前年比18%増で売上で約70億ドルと、毎年2桁成長を続けており、音声広告は世界の広告市場において注目を集めるトピックの一つでもあります。デジタル音声広告の収入が増大している背景にはワイヤレスイヤホンやスマートスピーカーの普及があります。
インターネットラジオでの広告出稿
ラジオ広告との違い
前述の通り、インターネットラジオはユーザーの試聴や属性のデータを活用することで、インターネット広告を出稿する際に重要視されるセグメント・ターゲティングを行うことができます。
特定の番組に広告を流すだけでなく、その番組を聞いたユーザーを対象に広告を流すことも可能です。ユーザーのデータを活用できるインターネットラジオだからこその広告の出し方を具体例をあげてお伝えします。
またデータを活用することで、ラジオCMにおけるブランドリフト調査や購買効果の計測などの広告の効果検証も行うことができるのも特徴です。
広告出稿のできるインターネットラジオの例
radiko
radikoには「ラジコオーディオアド」という音声広告プランが用意されています。ラジコオーディオアドではこれまでのラジオ広告とは異なり、広告枠単位での広告ではなく、ユーザー個人単位でのターゲティング配信が可能です。radikoはプレミアム会員の性別・年代とユーザーアンケートデータを元にユーザーに対して属性を付与しており、これらのデータを用いて性別・年代・エリア・端末によるターゲティングはもちろんのこと、聞いている番組から興味関心を割り出しセグメントを行うことも可能です。
この音声広告のターゲティング配信はリスナーであるユーザーにとっても、自分に関連性の高い広告に当たりやすくなるという点においてユーザー体験が低下しにくいというメリットがあります。
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オトナルポッドキャストアドネットワーク
オトナルポッドキャストアドネットワークは、ラジオ局や新聞社が配信している番組のポッドキャストの広告枠にデジタル音声広告をアドサーバーから配信する広告プランです。音声広告は各局のウェブサイト上のプレイヤー、ポッドキャスト、スマートスピーカーなどの様々な聴取シーンに配信することができます。
デジタル音声広告ならではの、ターゲティングや出稿数に応じた課金プランで広告配信できる点が特徴。配信日時や曜日といった「日時ターゲティング」、国や県などといった位置情報による「エリアターゲティング」、特定のデバイスだけに配信する「デバイスターゲティング」など、デジタルオーディオならではの様々なターゲティング条件による広告出稿が可能です。
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音声広告の出稿予算
インターネットラジオの広告費用は広告配信数に応じて課金される料金体系が設定されています。ラジオ局に出稿する場合は1ヶ月からのプランが主流なため広告費用が高くついてしまう一方で、インターネットラジオ広告はその性質から期間に融通が効くという側面を持っているため予算にあった広告の打ち出しが可能です。一例としてradikoの広告形態をご紹介します。
ラジコオーディオアドの価格感
radikoでの音声広告はターゲティングのないブロード配信と、番組聴取ジャンル別ターゲティング配信の2種類から選ぶことができます。どちらも完全聴取単価で、ブロード配信は3円〜/20秒〜、番組聴取ジャンル別ターゲティング配信は6円〜/20秒〜。最低出稿金額が50万円です。また、限られた期間のみに集中して広告を配信することができるのも魅力の一つです。配信できるメニューについてはラジコオーディオアドからご覧いただけます。
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ラジコオーディオアドの事例
具体的にradikoで広告配信された2つの事例をご紹介します。
①スマートキャンプ株式会社のradiko出稿事例
radikoで、SaaSマーケティングプラットフォーム「BOXIL SaaS(ボクシル サース、以下BOXIL)」のプロモーションを行いました。BOXILは勤怠管理・顧客管理・経費精算などSaaSと呼ばれるクラウド型のITツールの比較検討が行えるサービスのため、業務課題を抱えるビジネスパーソンにターゲティング配信をしています。
下記の音声クリエイティブは、BOXILの導入を検討する企業で、上司(女性)が部下にBOXILを提案してから3ヶ月後の業務改善までをストーリーに落とし込んだものです。
リモートワーク導入編
詳細なスマートキャンプ株式会社様の配信事例と音声クリエイティブは以下から確認できます。
【音声CM・広告クリエイティブ事例】BOXIL(スマートキャンプ株式会社様)
【デジタル音声広告事例】販促漫画を音声CM化&ビジネス層ターゲティングで「BOXIL SaaS」のCV獲得!
②KIYOラーニング株式会社のradiko出稿事例
radikoで、オンライン資格講座サービスである「スタディング」のプロモーションを行いました。スタディングは主に個人向けに難関資格の取得をサポートするオンライン講座で、スマホひとつでどこでも学習できるように設計されています。そのため、これから資格取得を考える社会人・学生をメインにターゲティング配信をしています。
下記の音声クリエイティブは日常の何気ないシーンを切り取ることで、ユーザーに対して資格学習をもっと身近に感じてもらえるようなつくりになっています。
就活生の相談編
詳細なKIYOラーニング株式会社様の配信事例と音声クリエイティブは以下から確認できます。
【音声CM・広告クリエイティブ事例】スタディング(KIYOラーニング株式会社様)
【デジタル音声広告事例】KIYOラーニングで実施した、音声と高い親和性をもつ学習商材の広告配信
\オトナルの音声CM・広告クリエイティブ事例の一部のご紹介/
音声CM・広告クリエイティブ事例を以下からご覧いただけます。
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ネットラジオなど音声メディアへの広告出稿が拡大
音声アプリやワイヤレスイヤホンの登場により、ラジオ広告はマスに情報を届ける形の広告から個人単位にパーソナライズしターゲティング可能な広告として注目を集めつつあります。
オトナルでは各ラジオ局の媒体資料を一覧にして掲載しております。ラジオ広告の出稿にご興味がある方は地上波ラジオ媒体資料ダウンロード一覧からご覧ください。
音声広告の出稿にご興味がある方はデジタル音声広告媒体資料一覧からご覧ください。インターネットラジオへの広告出稿の詳細はラジコオーディオアドやポッドキャストオーディオアドの各ページからご覧いただけます。