米国のメディア企業Cumulus Mediaと調査会社Signal Hill Insightsが共同で、2023年のポッドキャスト市場の動向についてのレポートを発表しました。このレポートの中から今回は特に、ビデオポッドキャストについてのインサイトをお伝えします。
高まるビデオポッドキャストの人気
調査によればビデオポッドキャストのシェアは昨年からじわじわと伸びてきています。2022年はポッドキャスト利用者の28%がビデオポッドキャストを「見て」いましたが、2023年には37%になっており、昨年から10%近く増加しました。"聞く"ものだと思われがちなポッドキャストですが、実は3分の1近くの利用者の間で、"見る"ことが好まれているとわかりました。
新規ポッドキャストリスナーは、より「見て」いる
ポッドキャスト全体の人気は高まりつつありますが、新たに聴き始めるユーザーはポッドキャストを「見る」ことを、より好んでいるようです。調査によるとポッドキャストを聴きている歴が浅い人はよりビデオポッドキャストを好んでおり、40%が積極的に動画を視聴しています。これに対して4年以上前からポッドキャストを利用している人たちの動画視聴は27%にとどまっています。
ビデオの有無と利用プラットフォームの関係性
ビデオポッドキャストの人気が高まっていますが、この人気の高まりはユーザーのプラットフォーム選びに大きく影響しているようです。調査によれば音声のみのポッドキャストを好む人の間ではSpotifyやApple Podcastが圧倒的に人気です。これに対して動画付きのポッドキャストを利用するユーザーはその大半がYouTubeをプラットフォームとして利用していることがわかりました。
ビデオ利用者は広告も「見て」いる
ビデオポッドキャストの視聴者は、画面上で広告が再生されている途中でもスクリーンから目を離さないことが調査からわかりました。
ビデオポッドキャストの利用者の8割以上はコンテンツの再生中、多くの時間で画面に目を向けています。そして広告再生時でも6割程度の人が画面から目を離すことなく広告を見ていると明らかになりました。これに対してテレビの広告視聴率は4割程度であり、ビデオポッドキャスト広告の可能性が伺えます。
これからのビデオポッドキャストとの関わり方
今回のCumulus MediaとSignal Hill Insightsのレポートからビデオポッドキャストのシェアが高まっていることが読み取れました。ビデオポッドキャストは音声のみのポッドキャストより、盛り込める情報が多くなるので、単純にコンテンツとしての充実度や、あるいはブランディング力を高めたい場合などに有効なコンテンツ形式となっています。これからポッドキャスト配信を考える人や企業は、「動画付き」という手法を選択肢に入れる必要がありそうです。
しかし、「ビデオポッドキャストが良い」というのも早計で、聞いてほしいユーザーや配信するプラットフォームなどの複合的な要素を考慮したうえで、動画との関わり方を決める必要があるでしょう。
Cumulus Mediaとは
Cumulus Mediaは、アメリカ合衆国の主要な放送メディア企業で、ラジオ放送局の運営を中心に行っています。全国に450以上のラジオ局を持ち、さまざまな地域市場で幅広いオーディオコンテンツを提供しています。ニュース、スポーツ、エンターテインメントなど多岐にわたるジャンルの番組を放送し、ラジオ放送業界の重要なプレイヤーとして位置づけられています。また、デジタルプラットフォームを通じたコンテンツ配信にも力を入れており、多様化するメディア消費ニーズに対応しています。
YouTubeでポッドキャストを「見る」って、それはポッドキャストなのか?