※本記事は、オトナル代表である八木のnote『【調査レポート】第4回ポッドキャスト国内利用実態調査ダイジェストを裏話とともに』からの転載記事です。
こんにちは、オトナルの八木です。
3月7日に弊社オトナルは第4回目となる「ポッドキャスト利用実態調査」を行いました。
この調査は朝日新聞社と毎年共同で行っている調査でして、
「日本で、ポッドキャストってどんな人が聴いているの?」
という質問に答えられるように2020年から毎年実施している調査です。
この記事では、その調査の制作秘話や注目すべきポイントなどについて、簡単にまとめていきたいと思います。
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4年目となる今回調査の見どころは…?
このポッドキャスト調査ですが、実施も4年目にもなると考察もだんだん深くなってくるもので、「あれも盛り込もう」「これも調べたいね」という感じで調査内容を追加し、毎年パワーアップして調査設計をしています。そのため毎年ページが増え続けることになるんですが、そんなこんなで今年は全41ページの調査レポートとなっています。
【見どころ】ポッドキャストとの24メディア利用率比較/7メディア詳細分析
前年でも実施した調査結果に加えて、今年の見どころはいくつかあるのですが、今年は"マスメディアやその他のSNSとのメディア利用実態比較"を追加しました。昨年の調査ではポッドキャストとYouTubeとの比較を行いましたが、今年はさらにポッドキャストとほかメディアの24媒体比較を盛り込みました。
ジョジョの奇妙な冒険で例えるなら、「第1部で1体でもあんなに倒すのに苦戦した吸血鬼(=1部ではDIO)が、なんと2部ではウジャウジャ出てきちゃう、ヤバい!(すごいぞ)」という感じです。
今回の調査ではウェブ調査で、スクリーニング調査(ポッドキャストリスナーに絞り込む前の調査)で10000人、そしてポッドキャストの月間アクティブリスナー800人を対象に本調査を行なっています。
1. 若年層の利用率が高いポッドキャスト
まずポッドキャストの利用率と年齢の比率です。10,000人の調査で、年代構成のウェイトバック集計を行った結果、月間のアクティブ利用率は15.7%となりました。
また今回は10代ユーザーも可視化できるようにしたため、今回は15歳以上の各年代でのデータを掲載しています。(なお、小学生などの14歳以下リスナーは回収可能データの関係で調査データに含まれていません。ちびっこポッドキャストリスナーのみなさん、ごめん…)
高校35人クラスなら11人がポッドキャストリスナー?
注目すべきポイントは、10代(15歳以上)〜20代-30代の利用率が全年代平均を上回っていることです。とくに10代、20代は利用率が高い結果がでています。つまりポッドキャストは若年層に強いメディアだということです。15-19歳は約3人に1人、そして20代では、4人に1人がポッドキャストを月に1回以上聴いていることになります。つまり高校35人のクラスなら、11人がポッドキャストを月に1回以上聴いているわけですね。
10代が聴いているジャンルTOP5は、「コメディ/お笑い」/「ニュース」/「音楽解説」/「言語学習」/「社会/文化」でした。このジャンルを見ると、たしかにオールナイトニッポンなどのお笑いポッドキャストや、英語のリスニング学習、音楽をテーマにした番組などとひっくるめるとクラスで11人くらいは使っていそうだな…と感じたので、違和感のない数値のように思いました。
2. 24媒体比較で、全年代だとTiktok超え。10-20代ではラジオ以上の利用率
続いてポッドキャストの24媒体比較です。マスメディアからインターネットメディアまで"異種格闘技戦"的に比べてみたらどうなるだろう、ということでやってみた結果、なかなか興味深い結果になりました。全年代ではパネル数は10,000人、15-20代では2,228人が調査対象です。
全年代ではTikTokとNetflixより高いポッドキャスト利用率
まず黄色い左のグラフを見ると分かる通り、[全年代]ではポッドキャストがTikTok(12位)やNetflix(13位)に勝ちます。同じ音声メディアのラジオ(9位)には負けるものの、11位という順位は個人的には健闘しているなと思いました。すごいぞ…ポッドキャスト!
15-20代にしぼると…ラジオやFacebookよりも利用率が高い
また右の[15-20代]に絞った結果では、ポッドキャストはTikTok(7位)には僅差で負けるものの、ラジオ(11位)よりも上位になります。つまり、ポッドキャストはラジオに利用率で勝っているので、若年層向けに音声メディアで訴求しようとしたら地上波ラジオよりもポッドキャストのほうが効率的かも…?ということになります。24メディア中、8位なので、「ながら時間」に若年層向けマーケティング訴求をするなら優秀なメディアなのでは?と感じました。
(ちなみに、その上にランクインしてるのが、XやInstagram、TikTok…と若い方たちが使っていることに肌感覚のあるメディアなので、その次にポッドキャストが入っているのがなかなかエモいです。)
3. ポッドキャストは何で聴かれているの?音楽サービスがやはり強し
続いて Podcast の聴取 プラットフォームについてです。これも調査開始から毎年取っているデータです。
前提として、ポッドキャストは一般的なインターネットのメディアと異なり、複数のプラットフォームに同じ音声コンテンツが配信されています。これはRSSフィードで配信を行なう仕組みであるためです(SmartNewsやLINE NEWSなどのニュースアプリなどでも使用されている技術)。つまりポッドキャストリスナーは、自分の好きなアプリやサービスを選択してポッドキャストを聴いていることになります。(これはsafariやchromeなどのブラウザを使い分けるのと似ているかもしれません。)
ポッドキャスト聴取では、音楽プラットフォームが1位と2位に
で、調査の本題に戻るのですが、利用されているアプリのトップとしては下記のような結果となりました。
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Spotify(35.2%)
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Amazon Music(19.8%)
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Webサイト(15.6%)
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Apple Podcast(15.2%)
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YouTube Music(9.3%)
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ラジオクラウド(9.3%)
「複数回答可」の設問なのでその点も考慮する必要がありますが、1位のSpotify(35.2%)は昨年の調査では41.8%だったため実は前年から利用率が低下しています。
また、昨年まで2位だったApplePodcastの順位が低下し、今年はAmazonMusic(19.8%)が2位、ウェブサイトから(15.6%)が3位に上昇しました。さらに、2023年にYouTube Musicでもポッドキャストが聴けるようになったことを受けて、YouTube Music(9.3%)も5位と高い順位にランクインしています。
若年層の利用率が高まっているのはこのような音楽ストリーミングサービスでのポッドキャスト利用が増加しているからだと思われます。
(来年はYouTube Musicがさらに順位を上げてきそうで、個人的にはすこし恐ろしく感じました。)
4. 87.1%がながら聴き。ポッドキャストは移動と家事のおとも
ポッドキャストの聴取シチュエーションでは、新型コロナウイルスの警戒モードが解かれたこともあり、外出中の移動時間が上位にランクインしています。もちろん「家事中」も高い順位です。
上位6つは近しい数値なので、下記がポッドキャストのメイン利用シチュエーションであることがわかります。
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車の運転中(23.8%)
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公共交通機関(23.5%)
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家事中(23.4%)
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歩いている時(23.3%)
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趣味の作業中(22.2%)
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就寝前(22.0%)
ポッドキャストユーザーの87.1%が「ながら時間」に聴いている
また、何かを行いながらメディアに接触する時間、通称「ながら時間」に該当する時間を算出したところ、聴取リスナーの87.1%が「ながら時間」にポッドキャストが聴いていることがわかりました。
これは動画メディアなどでは起きえない、音声メディアの真骨頂と言えでしょう。タイパ(タイムパフォーマンス)を求めると言われる若年層に利用されているというのも納得できるポイントです。
5. メディア詳細比較で、可視化されたポッドキャストの媒体価値とストロングポイント
レポートの後半では、下記の7つの媒体のユーザーについて詳細に比較の分析も掲載しています。
このパートは全4ページに渡って7つのメディアを比較しています。
この比較、興味深いことがわかるので、よーく見てみてください。
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ポッドキャスト
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YouTube
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Instagram
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TikTok
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テレビ
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ラジオ
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新聞
新聞よりも高い?ポッドキャストは7メディア中、もっとも「企業の決裁者」が多い..!
これは個人的にも驚いたことなのですが、7つのメディアユーザーの職業比較では、ポッドキャストは「企業決裁者」の割合が最も高い結果となりました。
ちなみに、ここでは生々しいので掲載していないのですが、7メディアの年収の比較も行っており、高年収(年収1000万円以上)の比率でも新聞やラジオを上回り、もっともポッドキャストが高い結果となっています。個人的には、高年齢層ユーザーを持つ新聞やラジオよりも高い比率だったことには驚きました。こちらについてはレポート完全版にも掲載しています。7メディア比較はとても興味深い結果が出ているので、ぜひレポート完全版でご覧ください。
さらにビジネス層に強いのと同時に、若年層が多くを占める「学生」の比率が高いのも特徴です。学生比率は7メディア中、TikTokに次いで2位でした。ビジネス層と学生では逆なイメージもありますが、これは「音声」という学習と相性のよいメディアフォーマットであることが関係していると思われます。
また、メディアユーザー別に情報感度を比較した設問では、全ての回答項目においてポッドキャストが最も高い結果に。
全質問でポッドキャストが1位なのですが、とくに下記2つについては圧倒的で10ポイント以上高い結果が出ています。
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「製品や新しいサービスを取り入れるのが人よりも早い」
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「新しい流行について人に聞かれることが多い」
後者についてはTikTokのほうが高くなりそうだなと思いましたが、TikTokはユーザーの属性的に大衆的な感覚のユーザーが多く、日本で今現在ポッドキャストを使用している人は情報リテラシーの高めの人であることが現れているのではと感じました。
まとめ:
以上、この記事では「PODCAST REPORT IN JAPAN 第4回ポッドキャスト国内利用実態調査」の見どころをダイジェストでご紹介しました。
調査のポイントをご紹介しようと思ったのですが、恐ろしいことにこのnote記事、(5800文字もあるのに)レポート6ページの調査結果しかご紹介できていません。本調査レポートは全41ページあります(マジカヨ)。
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音声マーケティングや、企業でのポッドキャスト活用のヒントが多く内容が詰まっているので、ぜひチェックしてみてください。
この記事ではご紹介できなかったですが下記の調査結果でも非常に興味深い結果がでているので要チェックです。
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ポッドキャスト番組の配信経験
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ヘビーユーザーの聴く目的
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ヘビーユーザーの行動/音声広告に感じること
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他メディアユーザーとの年収の比較
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全年代の利用率はTikTok超え!ポッドキャストは、若年層リーチで有望なメディアと言い切ってもいいのでは。