オーストラリア放送局のABCは、ポッドキャストのエピソードタイトルを最適化するために、生成AIを活用したパイロットテストを実施しました。この実験は、AIがいかにポッドキャスト制作プロセスを効率化し、改善できるかを探ることを目的としています。
パイロットテストには生成AIツール「Microsoft Copilot」が使用される
以前、2023年にABCが行った調査では、ポッドキャストリスナーの多くは、エピソードのタイトルをもとに「聴くかどうか」を決めていると示されました。
パイロットテストでは、生成AIにポッドキャストのエピソードタイトルと説明文を生成させ、それらがリスナーの関心を引き、ポッドキャストの聴取につながるかどうかを検証しました。パイロットテストは1ヶ月間、様々な部門、カテゴリーを対象に行われました。テストには生成AIツール「Microsoft Copilot」が使用され、ポッドキャストのエピソードに最適なタイトルと説明文を生成するためのプロンプトを作成されました。
アウトプットの質に加え、正確性に課題
テストの結果、生成AIはある程度の成果を上げることが実証されました。メリットと共に、いくつかの課題も明らかになりました。
- 創造性に欠ける:生成AIによって生成されたタイトルや説明文は、人間が作成したものに比べて創造性に欠ける傾向がありました。
- 正確性に欠ける:一部の生成AIは、事実誤認や矛盾を含む内容のタイトルと生成文を出力しました。
- ニュアンスを理解できない:生成AIは、ポッドキャストの内容のニュアンスやコンテキストを完全に理解することが難しく、不適切な表現を使用する場合がありました。
チームは検証を継続
ABCは、このパイロットテストの結果を踏まえ、生成AIのさらなる活用を検討しています。プロンプトの改良や使用する生成AIを変えるなどして、検証を継続するとしています。特にプロンプトの改良にあたっては、特定の番組のスタイルやトーンに焦点を当てることで、より良い回答が得られることに期待するとしています。
フランスのAushaがAIによるポッドキャストのSEO改善ツールをリリースするなど、ポッドキャストへのAI活用が進む中で、今回の結果は非常に示唆に富むものになったといえるでしょう。
ABC(Australia Broadcasting Corporation)とは
ABC(Australia Broadcasting Corporation)は、オーストラリアの公共放送です。1929年に設立され、レビ、ラジオ、オンラインメディアを通じて、ニュース、エンターテイメント、教育など多様なコンテンツを提供しています。ABCは公共放送機関として、政治的中立性や質の高い報道を重視しており、オーストラリア国内外のさまざまな問題についての情報源として広く利用されています。
参照元:AI in podcasting: Lessons from the ABC’s episode title optimisation pilot
人間がAIに取って代わられる日は遠そうだ。