ニールセンが、2023年の消費者調査報告書を発表しました。この調査は2023年に米国在住の18歳以上の方3,000人を対象に行われたもので、広告やインフルエンサーマーケティングなどに焦点を当て、新たな課題と戦略を分析しています。
広告回避の蔓延とインフレの影響、マーケターにとっての二重の課題が浮き彫りに
ニールセンの調査によると、消費者の広告回避に対する欲求はますます拡大しており、無料動画サービスでは64%の消費者が広告を意図的に回避していること明らかになりました。広告を避ける動きは、無料動画だけでなくライブ動画やポッドキャストなどの他媒体においても比率が高まってきていると言えます。
また消費者のうち、すでに55%の消費者が広告なしのストリーミング・サービスに加入していることに加え、ほぼ全員(95%)が蔓延するインフレが購買力に影響を与えているとの回答が集まっています。マーケターには、「広告回避」と「インフレ」これらの二重の課題を克服するための施策が求められています。
今後のマーケティング戦略のポイント
1.インフルエンサーマーケティングの有効性
調査より、59%の人が、自分がフォローしているインフルエンサーが支持する製品を購入する傾向が同等かそれ以上であると回答しています。これは、インフルエンサーマーケティングが広告回避の難題を打破し、インフレを懸念する中でも、消費者の関心を維持する上で重要な役割を果たしていることを示唆しています。
2.パーソナライズされたマーケティングの重要性
さらに、ブランドからパーソナライズされた方法でアプローチがあった場合、製品を購入する可能性が高まると答えた人は、68%に上りました。関連性のあるコンテンツも高く評価され、製品にとどまらない付加価値のある情報提供が購買意欲を刺激していることがわかります。
3.ソーシャルメディア広告への継続的な注目
消費者の半数以上(55%)が、ソーシャルメディア広告やコンテンツに基づいて新しいプロバイダーや製品を評価する可能性があると回答しています。これは、消費者の関心を引き、行動を促すためにソーシャルメディア広告が有益であること、またソーシャルメディア広告が避けられる広告ではない可能性が高いことを示しています。
消費者の行動や心に寄り添うマーケティングを
ニールセンのコマーシャルグロース&ストラテジー担当バイスプレジデント、アリカ・マッキノン氏は、次のように述べています。
インフレ懸念が高まり、広告を避ける消費者が増えている中、マーケターは最もインパクトのあるキャンペーンに注力することが不可欠です。こうした懸念に対処するため、マーケターはインフルエンサー・ネットワークやパーソナライズド・マーケティング戦術の活用に目を向けると同時に、消費者の行動も考慮し、心に響くメッセージやキャンペーンを最適化する必要があります。
広告回避とインフレの懸念が増大する中、マーケティングの舞台はより複雑になっています。消費者の行動を洞察し、的確なメッセージで心をつかむことが、未来の成功につながるでしょう。
先日、「2024年もポッドキャスト広告市場は拡大見込み。Libsynが同市場における5つの予測を公開」こちらの記事で紹介した、ポッドキャスト広告におけるインフルエンサーマーケティング手法である「ホストリード(パーソナリティ読み上げ広告)」も、消費者の行動に寄り添う手法としてさらに注目されるものとなりそうです。今後は、変化する環境に柔軟かつ創造的に対応し、ブランドと消費者との絆を深める新たな関わりを切り開くコンテンツを活用した情報発信が求められています。
ニールセンとは
ニールセンは、視聴者測定、データ、アナリティクスの分野で世界的に有名な企業です。主にメディア産業において、視聴率や消費者行動データの収集・分析を行い、広告主やメディア企業に市場インサイトを提供しています。ニールセンは、テレビ、ラジオ、デジタルメディアなど広範なプラットフォームでの視聴者データを調査し、これに基づいて広告戦略やコンテンツ戦略の最適化を支援しています。
広告もコミュニケーションが大切。もはや、広く告げるものではないのかもね。