12月5日、インドのデリー地下鉄鉄道公社 (DMRC) が列車内で音声広告を試験的に流すことを発表しました。理由についてはコロナ禍による利用者減による減収を一部補うためのようです。
電車で音声広告が流れるというのは、思わず斬新な印象を受けますが、聞き流してしまっているだけで都市部の公共交通機関が発達している日本では当たり前になっています。
たとえば東京都交通局(いわゆる都営地下鉄とか都バス)では各駅ごとに関連した施設や店の広告が流れています。また大阪だと御堂筋線などで広告放送が流れています。
効果的な移動中の広告訴求とAOOHの考え方
音声の屋外広告はAOOH(Audio Out of Home)と呼ばれます。交通機関を用いた広告は、特定の時間帯やルートを利用する特定の聴衆層に合わせて調整することができ、そのプランニング次第では、ターゲット層に合わせ最適なメッセージを伝えることが可能です。例えば「平日朝の通勤時間帯で都営大江戸線の汐留駅で降りる人」のように設定した場合、「マスメディアや広告代理店勤務の30代サラリーマン」に広告が当たる可能性が高まります。
ただ昨今の状況を考えると、イヤホンをしている人がかなり多い事や、電車内のデジタルサイネージが非常に多い事(例えば山手線の新型車両は窓上、ドア上がすべてデジタルサイネージになっている)ことを踏まえると、移動中に訴求する広告媒体としての効率については考えておく必要があります。
デジタル音声広告の拡大
「音声広告は聞く人のイヤホンに直接流してしまった方がいいのでは」という声に対するソリューションとして、すでにSpotifyの音声広告らradikoの音声広告では電車のアナウンス広告よりも細かいターゲティングが実現できます。
例えば、ストリーミングサービスのSpotifyでは年齢、性別、エリアといった情報はもちろんのこと、その日の天気や性格、気分(プレイリストやポッドキャストの再生履歴)に基づいたターゲティングができます。また、英国のアドテク企業であるNumberEightのテクノロジーでは、たとえばユーザーがバイク移動中なのか、自動車移動中なのかといったレベルまでターゲティング広告を実現することができます。これはユーザーのプライバシーに配慮された形で実現しており、個人情報・プライバシーに配慮しながらハイレベルなシチュエーションデータを活用したマーケティング活用が可能です。
このように音声広告を活用して、移動中のシチュエーションに多くのユーザーに適切な広告を適切なタイミングで届けることのできる広告手法の活用が増加しています。
増加する音声広告媒体
先日Spotifyがポッドキャスト広告ネットワークが日本やインドにも拡大すると発表しました。インドに限らず日本もですが、音声広告はイヤホンやスマートスピーカーの普及などで益々増加していっています。それに加えて、電車の音声広告などの既存メディアも存在するわけですから、出稿媒体選びはより一層重要になってくると言えそうです。
AOOH(Audio Out of Home)とは
Audio Out of Home(AOOH)は、屋外広告(OOH)の一種で、音声メッセージを使用して消費者に直接アプローチします。例えば、店舗内や公共交通機関、公共の場で音声広告を流す手法があります。車内広告や駅での音声案内はその代表例です。環境音や特定の場所に合わせた音声コンテンツを活用し、ブランドメッセージを効果的に伝える手段として注目されています。
社内の音声広告、うざい広告だとノイズだけど、思わずクスっと笑ってしまうような広告だと楽しい。