米国のラジオ企業最大手であるiHeartMediaが、53億ドルにおよぶ借入金に問題を抱えていることが明らかになりました。債務再構築に失敗した場合は、破産申請の可能性があります。今年の大統領選に向け、政治広告の増加が期待され株価が回復傾向にありましたが、財政的には未だ苦境に立たされている模様です。
iHeartMediaの財政難の要因
iHeartMediaが財政難に直面している主な原因は、過去の過剰な借入れにあります。特に2008年の、iHeartMediaの前身であるClear Channel CommunicationsがPEファンドに買収された一件は、同社に多大な負債を負わせる結果となりました。また、デジタルメディアの台頭による広告市場の変化、特にApple MusicやSpotifyといった音楽ストリーミングサービスとの競争の激化が、ラジオ放送が主体であった同社への広告収入減少を招いています。
過去には破産保護申請も
同社は、2018年には破産保護を申請したことがありました。2019年に市場に復帰しましたが、依然として負債の返済が続いており、企業のキャッシュフローに大きな負担をかけています。さらに、コロナ禍に伴う経済の停滞も広告収入の減少を引き起こし、収益性悪化に追い打ちをかけています。
財務安定の鍵は、デジタルシフトか
iHeartMediaは、デジタル化の進展と広告市場の変化に適応しようとしています。特にポッドキャストとデジタルプラットフォームの強化に注力しており、これらの分野での成長が期待されます。しかし、巨額の債務と厳しい競争環境は依然として課題です。今年の政治広告収入の増加や新たな収益源の開発が、中長期的な財務安定と成長に向けた鍵となるでしょう。
iHeartMediaとは
iHeartMediaは、米国の大手メディア企業で、主にラジオ放送事業を展開しています。全米に800以上のラジオ局を持ち、ポッドキャスト配信やライブイベントの企画も手掛けるなど、オーディオエンターテイメント分野で広範囲に事業を展開。デジタルプラットフォーム「iHeartRadio」を通じて、音楽ストリーミングサービスも提供しています。
参照元:If iHeartMedia Cannot Restructure It Could Eventually File For "Chapter 22" Bankruptcy
デジタルコンテンツの競争もAppleやSpotifyが相手だと分が悪いよね。