※本記事は、タクト株式会社のnote「ソニック・アーキテクト(音の総合建築家) ー タクト株式会社」からの転載記事です。
さて、前回小売店やスーパーマーケットに行っても、特売日の歌やお店のテーマ曲を覚えてしまうばかりで、購買行動につながっているのかどうか疑問・・という問題提起をさせて頂きました。問題提起をしたからには解決方法を、ということで今日は…
アメリカのスーパーマーケットの音環境づくりの成功事例をご紹介!
入口では明るく情熱的なラテンミュージック
まずスーパーマーケットの入口を思い浮かべてみてください。
アップテンポでリズミカル、明るく情熱的なラテンミュージックに少量のホワイトノイズを加え、適切な音量レベルにします。これはワケあって歌詞付きが良いでしょう。最初に「明るく情熱的なわくわくする音楽」を流しておくことで、お客様の心理を無意識に「明るく情熱的なわくわくする」気分に導き、後々の購買行動に影響を与える効果があります。
生鮮食品コーナーでは自然の音を
そして入店してすぐはお野菜や果物などの生鮮食品コーナーですね。
ここでは自然の音を流します。例えば、川のせせらぎ、時折跳ねる水しぶきや、そこここからたまに聞こえてくる鳥たちのさえずり。そして少量のピンクノイズと波の音でデザインされた「自然の音」を流すのです。こうすることで、お客様の気持ちが落ち着き、「水系の自然のサウンド」で心の中の感情に「新鮮」を導く効果が現れます。そして目の前にある、パプリカ、トマト、人参、ブロッコリー、レタス、葡萄に林檎にさやえんどう。実にみずみずしく新鮮さを感じさせますよね。
川のせせらぎ、水が跳ねる音や小鳥のさえずりは遠近感があるものです。ですから、これにはお客様の視野を無意識のうちに前後上下左右に広げる効果があります。
さて、最初にお店の入口ではラテン音楽を聞きましたよね。記憶に残っている「明るく情熱的なわくわくする」気分は赤いパプリカ、新鮮なオレンジなどへお客様の関心を導き、手に取ってくださる効果を促します。
そして、お野菜や果物のコーナーを抜けると、お魚やお肉の売り場です。さて、お魚のコーナーの前に、お野菜と果物の売り場でお客様は「川のせせらぎや水しぶき」の音を聞いていますから、自然に「水・フレッシュ・魚」をすでに連想しているというわけです。
自然に気持ちを導いていくことが大切
ここで大切なのは、「お客様が気づかれないように、ごく自然に水や海、新鮮なお魚への気持ちの導き」をしているということです。例えば、鮮魚コーナーの前に明らかな海のサウンド、例えば日本で言えば魚市場のせりの有線や大漁民謡などを流してしまうと、お客様に対してあまりにも直接的な魚との関連性を「押し売り」することになり、逆効果なのです。そうなるとせっかく、野菜・果物売り場で感じた「新鮮」という気持ちが薄れてしまいます。やはり、お野菜・果物エリアで感じた「新鮮・フレッシュ」という気持ちを持ったまま、お魚コーナーに進んで頂きたいわけです。
さて、いよいよ生鮮食品売り場を抜けたお客様はお店中心部へと進んでいきます。どんなBGMがふさわしいでしょうか?次号にて解説!
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本記事はタクト株式会社のnoteからの転載記事です。
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タクト株式会社 代表取締役社長であり、音楽芸術博士であるミテイラー千穂氏の著書『サウンドパワー わたしたちは、いつのまにか「音」に誘導されている!?』では、「音」と私たちの生活の様々な繋がりや、ビジネスをアップデートするための「サウンド」の重要性などが語られています。
マクドナルドのソニック・ブランディング「i'm lovin' it」から低周波音による健康被害、音による味覚の変化まで、日常のあらゆる場面で音が私たちに与える影響などを具体例を交えて紹介されています。