[科学で考えるソニックマーケティング]第16回:魔法とは、科学的に・戦略的にかけるもの


※本記事は、タクト株式会社のnote「ソニック・アーキテクト(音の総合建築家) ー タクト株式会社」からの転載記事です。

[科学で考えるソニックマーケティング]第16回:魔法とは、科学的に・戦略的にかけるもの

さて、前回の投稿では「まずは何はさておき、すべての音声コンテンツ制作のための指針やルールやガイドラインとなるソニック・アンセム(=メロディ、あるいは曲)を科学的に作曲し、かわらぬ企業理念やメッセージを言葉だけではなく、音を通じても発信する。」事の大切さをお伝えしました。

ソニック・アンセムで企業理念を発信

ソニック・アンセムは企業理念を発信するもの

ソニック・アンセムと連動して制作されたソニック・ロゴのバリエーションは、「ほんの数秒、ひと聞き」で視聴者の胸いっぱいに御社の企業理念を広がらせ、御社と切っても切り離せない連想を生み出し、それが永続的に続くのです。

そう、あの「夢の国」がとても良い事例です。でも、これは「夢の国」だからできていることではないのです。「すべての企業が視聴者に科学的に戦略的にかけることのできる魔法」なのです。

まずはウォルト・ディズニーのアンセムを聞いてみましょう。

聞くだけで、子供の頃に舞浜の遊園地に行って朝ゲートが開くのを待ち、ゲートをくぐったら走り出して、シンデレラのお城が見えてくる・・・あの夢のようなわくわく感が胸いっぱいに広がりますね。では、なぜそのような気持ちになるのでしょうか?好き嫌いの問題なのでしょうか?個人的な思い出の問題なのでしょうか?

いいえ、違います。そこには科学的な理由があります。

この曲を聴くと「現実の世界から夢の世界へと進むような体験」をするのはなぜか?

  • 出だしから1オクターブの跳躍、これは「雄大、壮大、健全、協力、安定、エネルギッシュ、ヒーロー、結城」などの心理的イメージを与える。*
  • 長調で「明るさ、楽しさ、平和、夢、幸福」を表現
  • 4拍子は前進を意味し、オクターブの跳躍と長調が重なり「活動、躍動」のイメージ
  • テンポは58BPM(Beats Per Minute:テンポのこと。1分間の拍数)で、ヒトの平均的心拍数と同テンポで「落着き、穏やかさ、安定感、平和」を意味する。
  • 原曲のハ長調より半音高くすることで「キラキラ感」をプラス。

このように、約30秒のアンセムでディズニーの理念や理想との感情的つながりが創られています。

では、アンセムはいつ使う?

企業理念を発するアンセムですが30秒と少し長めです。ですので、個々のCMよりも映画の始まり、本社の電話保留音やイベントなどで利用されているようです。

  • ディズニー映画のはじまり
  • 米国本社の電話保留音
  • ディズニーユニバーシティ

一方、30秒のアンセムでは長すぎる場合もあります。このような場合は、アンセムと同期をしたソニック・ロゴをつくることで、ほんの数秒「ひと聞き」で視聴者は「あ!夢の国のメロディーだ!」とわかるわけです。

ソニック・ロゴはソニック・アンセムに基づいて制作されていますので、企業理念やメッセージを短いメロディやサウンドにおいても反映できます。また、ひと聞きで「ディズニー」であることがわかる秀逸さですよね。

すべての企業ができること

おさらいです。

まずはソニック・アーキテクトとともに、企業理念やメッセージを音でも発することができるように、ソニックアンセムを創りましょう。そしてその後、アンセムと同期したソニックロゴや各種音声コンテンツを制作しましょう。すべてのタッチポイントで常に同じ企業理念、メッセージを発することで、「ひと聞きで御社だとわかる」だけでなく、筆者が夢の国のアンセムを聞くだけで心の中で幸せな夢の国に飛び立つように、視聴者の共感・同調を永続的に醸成することができるのです。これは、「ディズニーだからできる」のではありません。すべての企業ができることなのです。

*出典:COSTA, M., BITTI, P. E.R.. And BONFIGLIOLI, L.(2000).
Psychological Connections of Harmonic Musical Intervals, Psychology of Music, (c) 2000 by the Society for Research in 2000, 28, 4-22 Psychology OF Music and Music Education

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本記事はタクト株式会社のnoteからの転載記事です。
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タクト株式会社 代表取締役社長であり、音楽芸術博士であるミテイラー千穂氏の著書『サウンドパワー わたしたちは、いつのまにか「音」に誘導されている!?』では、「音」と私たちの生活の様々な繋がりや、ビジネスをアップデートするための「サウンド」の重要性などが語られています。

マクドナルドのソニック・ブランディング「i'm lovin' it」から低周波音による健康被害、音による味覚の変化まで、日常のあらゆる場面で音が私たちに与える影響などを具体例を交えて紹介されています。


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